移住でも観光でもない「関係人口」の経緯と課題

昨日、官邸で総理も出席した まちひとしごと創生会議が開催され、2019年の基本方針が示されました。キーワードは、移住でも観光でもない、長期的に一つの地域に関わり続ける「関係人口」です。

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地方創生、流出止まらず苦慮 移住から交流に、第2期総合戦略(毎日新聞)

関係人口は、震災復興を機に生まれた言葉です。人口減少下でおきた最初の大災害は新潟中越地震でした。ここで全村避難を強いられた山古志村は、その後人口減少したものの、村の外にファンをつくり、定期的にむらづくりを手伝ってもらうことで、安定した村を維持させることに成功しました。

東日本大震災では中越地震を参考に、各地で復興支援員が活躍し、また東京の人材が続々と被災地に入って復興業務にたずさわったことで、必ずしもオープンでなかった東北の町村ではよそ者人材と関わることが当たり前になりました。その中で、釜石市のオープンシティ戦略を代表例として、各地で「絆人口」「関係人口」といった考え方が広がっています。こうした動きは全国にも拡大しつつあり、今回の地方創生戦略の柱となったわけです。

ただし、地域が持続可能になるためには、あくまで地域で安定かつ一定以上の待遇がある「仕事」が必須です。関係人口を機に、一次産業であれ観光であれ、付加価値の高い働き口がどれだけ生まれるかが、鍵となります。

そのためには地域に通う方は、地域の外からお金を引っ張っていかないといけないし、また地域にお金を落とし続ける存在である必要があります。間違えても、地域の仕事を奪う存在になってはいけません。


編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2019年6月12日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。