ここ最近新聞各紙の報道等を見ると、「首相、衆参同日選見送りへ 来週最終決断 消費増税は予定通り」(産経新聞)といった論調が支配的になっています。今国会が今月26日の会期末で以て閉幕し、来月4日公示・21日投開票の日程で参院選が実施されるということです。
そこには、「自民党が極秘に実施した参院選の情勢調査では、勝敗を左右する改選数1の1人区32のうち、厳しいのは数選挙区にとどまった」ようで、与党の側に「底堅い内閣支持率を背景に参院選を単独で戦っても勝利できるとの判断」等があったと報じられています。あるいは、「朝日新聞の5月の全国世論調査(電話)で参院選での比例区の投票先は自民37%、公明党6%に対し、立憲民主党12%、国民民主党3%など各種調査でも与党優勢の数字が出て」もいるようです。
こうした状況下、野党第一党党首の枝野幸男氏は「参院選の争点はパリテ(議員が男女同数)、日米貿易協定交渉密約問題、多様性」(5月31日)とか「麻生さん発言…老後2000万円問題」(6月8日)とかと言われていますが、国民には未だ殆ど伝わっていないよう感じられます。私自身はと言うと、何か争点らしい争点は無いと考えており、大体の勝敗は決していると思っています。
他方、安倍晋三首相としては予てより「夏の参議院選挙で、憲法改正を訴えるべきだという考え」を示されていますから、「改憲論議の是非について国民に信を問うべきだとの意見」も当然持たれていることでしょう。しかし今国会で又もや「議論すらしない」憲法審査会の有様に象徴されるように、改憲のプロセスは時間が掛かるものであり、来たる参院選で之を積極的には争点化しないものと見ています。尤も悲願の憲法改正を今後本気で成就させようとするならば、安倍首相ご自身が「自民党総裁連続4選」関係なしに取組んで行く位でないと中々難しいのではないかと思っています。
また、昨今の風の変化を受け各種メディアでは今年11月や来年1月等々様々な解散説が浮上していますが、例えば今年9月最後の最後に消費増税に対する信を問うということも無きにしも非ずのような気もします。なぜ私がそう感じるかと言えば、直近の各種指標を例示するまでもなく、現下の経済というのは良い状況に向かっているわけでなく、増税には良いタイミングでないと捉えているからです。
もちろん去年よりも悪いタイミングだと見ていますし、3年前の6月「世界経済が不透明感を増している」「内需を腰折れさせかねない」等を理由に消費増税の再延期が決断された時よりも、景況は悪く景気見通しも弱含んでいると見ています。今となっては予定通りの10月10%も再々延期もどちらを選んでも、日本の将来にとって極めて厳しい選択とならないかと危惧しています。何れにせよ安倍首相の最終判断は時の経済情勢に左右されるのだと思いますが、私自身は消費増税の再々延期が日本の進むべき道としてベターであると考えています。
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