要注意!お金を借りやすい公務員

ギャンブルのお金の問題で様々な事件が起き、社会の治安悪化を招いている件を書きましたが、

ギャンブルが動機の事件の被害額は振り込め詐欺並みかそれ以上?

そもそも事件に行ってしまう前に、家庭や会社ですでにお金の問題が起きているんですね。

なのでギャンブル依存症に対する正しい知識や対処法を知っておいて頂く必要があって、そのために啓発に力を入れている訳ですが、特にこれからは職場の理解が絶対に必要だと思っております。

その中でも問題は「公務員」なんです。
昨今、公務員の薬物使用や密輸事件が社会をにぎわせていますが、それ以上に頻出しているのが、ギャンブルによる横領や詐欺等の事件です。

昨日も警察官がこんな事件を起こし、京都新聞に掲載されましたが、

巡査長を逮捕へ 特殊詐欺職務悪用し高齢者から1千万円詐取か(京都新聞)

これなど、はまっていたものはFXですが、経過はまさにギャンブルによる事件そのものだと言えます。

ちなみに当会の相談でも、こういった株やFAなど投機による、借金問題の相談は全体の1割位を占めています。

sorara/写真AC:編集部

さて、何故お堅いイメージのある公務員がこういった事件を起こすのでしょうか?
それにはお固い職場ゆえに信用があり「お金を借りやすい」という大問題があります。

現在、消費者金融は年収の1/3までしか借りられないという総量規制があり、かつての「サラ金地獄」と呼ばれる高額多重債務問題は解消されつつあります。

けれどもこの総量規制の抜け穴として、銀行系が含まれないことが問題となっており、その上、公務員には「共済」というものがあるんですね。この「共済から借りる」という安易さが、公務員ギャンブラーの首を絞めています。

公務員は「共済」からお金を借りても、最後は「退職金で清算できる」という気持ちが、本人にも、貸す側にもあるので、かなりの高額を貸し出してくれます。

先日も、まだ30歳になったばかりの公務員が、500万円もの共済金を借入しているとの相談がありました。
消費者金融でしたら500万円借りるには、1500万円の年収がなければならないので、30歳そこそこのサラリーマンではまずあり得ません。

そしてさらに聞き取り調査で驚くべきことがわかったのですが、ここの勤務先で扱っている共済では、無担保無保証人の共済の他に、保証人をつけて借りれる共済があるんだそうです。

その保証人付きの共済を、お金に問題がある人同士で、保証人になり合い、お金を借りているのだそうです。
ひぇ~!同僚同士で、保証人になりっこしているんですよ。
そんなこと民間の会社で有り得ます?
これはやはり同僚、及び先輩後輩の間柄でもどこかに「公務員は安泰」という気持ちがあるからだと思います。

いや、依存症になってしまえば「安泰」ではないですよ!
これだけ事件がひっきりなしに起きているんですから、その辺きちんと情報共有すべきで、かつ公務員の皆さんは是非依存症の予防教育を受けて下さい。

こちらに当会がネットニュースから拾った事件簿をPDFでUPしておりますからどうかご覧下さいね。

「ギャンブル等の理由で起こった事件簿(平成版)」ギャンブル依存症問題を考える会調べ

また公務員の中でも特に体育会系「警察官」や「消防士」さんといった職業は、勤務がローテーションで、非番の時は平日朝からヒマでやることがなくパチンコに行ってしまう…というケースが多いです。

そして相談現場で必ず聞くのが「同僚や先輩に誘われて…」というものです。
話を聞いていて、職場の中でかなりギャンブルモラルが緩いなぁ~という感じを受けています。

公務員の事件は国民にとっても打撃です。
いっぱしの人材に育つまで税金で支え、仕事ができるようになったら、ギャンブルにハマってしまい事件を起こす。
するとまたしても税金で、裁判費用や収監費用まで出さなくてはなりません。
この辺の悪循環を断ち切るためにも、是非とも公務員のギャンブル依存症教育を実現して頂きたく、総務や人事の方、また管轄大臣にはご一考頂きたいと思います。

少なくとも
①職場でのお金の貸し借り
②安易にギャンブルに誘う
③保証人になりあう
こんなことは、ご法度にして頂きたいと思います。
大切な日本の人材を守るためにも、是非お願い致します。


田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト