1日1回限定!社内でも社外でも使える必殺テクニック

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企業向け研修サービスが堅調です。現在、企業向け研修の市場規模は5000億円程度と言われています。企業の人材採用意欲が強まったことにより、新入社員研修の需要が増加しているものと思われます。

新入社員研修の実施は、社員の満足度に影響を与えます。一部の研修会社では、研修施設や講師の供給が追い付かない事態も発生しているようです。

研修は以心伝心に注意

さて、皆さまは、セミナーでの講演、研修などの講師をした経験はありますか?その際に注意したことはなんですか?講演や講師の機会がいつ何時あなたにやってくるとも限りません。自らのキャリアアップのためにスキルは磨いておきたいものです。

私も講演や講師をすることがありますが、実は講演を成功させるポイントは受講者に内容を理解させることではありません。その場面で否定的な意見を出さないことです。講演や講師をする際、大人数のほうが弁士は楽なのです。100名を超すような規模になれば参加者との距離が遠いので、話すことに集中することができます。

ところが10~30名程度の小規模ケースでは、お互いの距離が近いため、緻密な関係性を構築できる一方で、進め方にはテクニックが必要になります。今回は、少人数をシミュレーションしたケースをお話しましょう。

以心伝心という言葉があります。会場の参加者が30名程度であれば、否定的な意見や質問が出ると、それがそのまま会場に伝わって空気や雰囲気が一変することがあります。これは注意しなければいけません。丁寧に対応することは大切ですが、質問にまともに答えるとドツボにハマることがあります。

1日1回限定のテクニック

<相手の意見をスポイルする>
相手の立場が自分より低い場合。たとえば、メニューの対象が新入社員研修で、力関係で自分のほうが勝っている場合です。

それほど難しい質問でない場合は、「Good Question(なかなかよい質問です)」と答えるのがベターです。「Good Question」と答えている時点で、自分の立場が上であることを印象づけますから、必要以上に突っ込まれることはありません。

また「Good Question」と答えている間に回答内容を考えることもできます。しかし上から目線の言い方ですから一歩間違えると批判を買いますので注意が必要です。

<相手をヨイショしてスポイルする>
相手の立場が自分より高い場合。たとえば、メニューの対象が役員や上級管理職で、力関係で自分が同等か劣る場合です。

管理職以上の職責の場合、相手はそれなりに実務経験があり自尊心が高いことが予想されます。相手が間違っていたとしても、自尊心を損なったら大変です。答えることが得策でない場合は、回答をせずに事態を切り抜ける方法を考えなくてはいけません。

もし、回答しにくい質問をされた場合どうすればいいでしょうか。このような場合は、「いまの質問は素晴らしいです。先日、Xで有名なY社の役員会に出席してきました。そこに同席していた企画担当の専務が同じ質問をされました。すぐにお答えできないので後ほどで宜しいでしょうか。申し訳ございません」と答えると良いでしょう。

XとY社には、相応しいと思われる、商品名や会社名を入れて答えてください。「質問者の問題意識や視点は「Xで有名なY社の企画担当の専務と同等」という印象を与えることができるからです。相手の自尊心は満足されるはずです。

応用次第では社内でも使える

ここで紹介したスキルは場面を選びません。社内、営業、会議など、全ての場面で応用することができます。ただし注意事項があります。

まず、使用量は1日1回にしてください。使用量を間違えて濫用すると、途端にウソっぽくなってしまいます(元々、ウソではあるのですが)。用量、効能などのほか、使用上の注意、副作用に留意してください。使用量はお間違えなく。

さて、6月6日に14冊目となる『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)を上梓しました。講師にとって大切なことは毎回の振り返りです。ノートを整理する際にお役立てください。

尾藤克之(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)