もはや社会悪!『バイキング』のデタラメ薬物報道

田中 紀子

岡崎聡子さんの逮捕を受け、相変わらず坂上忍さんが思考停止のまま、モラハラMCぶりを発揮していて、批判を受けていますが、今回は、あまりに現状を知らない放送にあきれ果てました。

フジテレビ系『バイキング』より:編集部

もうこの番組、本当に終了したほうがいいです。
マジで、役に立たないどころか社会悪です。本気でスポンサー企業に意見書でも提出しようかと思っています。

まず、昨日は何が批判を受けたかというと、岡崎さんの逮捕を受けて、コメンテーターの一人、清原弁護士という方が、薬物事件の再犯防止案として「薬物更生プログラムを続けている限り、その間に薬物の再使用があっても犯罪として処罰しない」という世界では当たり前に行われている対策を提案したんですね。
すると坂上忍さんは「治療してた方がずっとやれちゃうじゃん」と馬鹿なことを言い出したんですね。

それに対して、清原弁護士が「治療中に再発したら何らかの処罰は受けます」うんぬんかんぬん、と説明したんですけど、そこを坂上忍さんがぶった切って、この弁護士がおかしなこと言ってるとか、「絶対反対」とか言い出したんですね。

要するに坂上忍さんは、「麻薬が日本に絶対入ってこないようにしろ!」とか、「麻薬を誰も使わないようにしろ!」という、全世界で実現できなかった、(例え、使ったら死刑になるような国でも)非現実的な話をやれと一人声高に叫び、そんな自分が正義感あふれるかっこいい人と酔っ払い、現実的に少しでも害を減らそうという柔軟な姿勢に世界が転じていることを、受け入れられない人なんですね。

坂上忍さん、そんな方法があるならどうぞ提案してくださいな。誰も麻薬を使わない方法がわかったら、ノーベル賞とれると思いますよ。

それと、再犯を犯した薬物依存症者は10年でも20年でも刑務所に入れろと言ってましたが、そんなことしたら刑務所があふれかえり、とんでもない税金がかかりますけど、それあなたが負担すんの?私はそんなもの絶対負担したくないです。

なんで効率が悪く、非現実的で社会負担費ばかりが増大する方法を公共の電波を使って主張するのでしょうか?
言いたきゃYoutubedeでやったらどうですか?

また、この清原弁護士という人も、前から思ってましたが、薬物依存問題なんか大して扱ったことも詳しくもないタレント弁護士さんですよね。実感も信念もない人なので、論調がヨワヨワでぜ~んぜん説得力ないです。
まぁ、まともな依存症の専門家はもうバイキングなんて絶対出演しませんからね。

それと、今回の話題の中で、刑務所プログラムの有効性についても取り上げ、「回復者が刑務所で話をするようにしたらいい」など、さも大発見をしたようなことを偉そうに口々に言ってましたが、ホントこんな無知でよく恥ずかしくなく番組やってますよね~、スタッフもタレントも。そんなこと、もうとっくの昔からやってますよ。

でも、プログラムの中身より、刑務所という制度が人を正直に自分に向き合わせることができないんですよ。

そういうこと知らない時点で、この清原弁護士が薬物問題に素人だってわかっちゃうんですよね。さすがに前回ピエール瀧さんの件で炎上しまくったので、一生懸命勉強されたんでしょうけど、努力はわかるんですがホント現場知らなすぎなんですよね。

さらに最近よく出てくる「薬物問題に詳しい」という触れ込みの石原行雄さんとかいうルポライター、
ホントでたらめばっか言ってんじゃないぞ!って感じ。

薬物常習者の3つの特徴とやらの持論をあげ

・本人やめる気がない
・入手ルートがある
・安心して使用できる環境がある

と言ってましたが、これなんぞあまりのでたらめすぎてあきれ果てました。
こんなんで商売になるんだから、いい気なもんですよね。

フジテレビ系『バイキング』より:編集部

本人やめる気がない?よくもそんなことが言えますね。
みんなやめたくてもやめられなくて、辛くて、苦しくて死んでいくんですよ。
こっちは何人もの仲間の自殺に出会ってきたと思っているんですか。
何人の家族や友人が悲しんでいると思っているのか?わかってますか?

石原行雄さん、あなた本当にルポライターですか?
ルポなんかしてないですよね?してたらこんないい加減なこと言えないですもんね。

と、まぁ相変わらずバイキングは社会悪でしかありませんが、もうこの番組が薬物問題に対して役に立つ報道をするとは思えないので、こうなったらこれまでの詳細なレポートでも書いて、各スポンサー企業に意見書でも送るしかないかなと思ってます。

本当にこのバイキングってなんのためにやっているのか?誰のためにあるのか?
さらにこの番組をスポンサーしようという企業は、いったいこの社会をどうしたいのか?
真面目にお聞きしたいんですよね私。


田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト