「日米安保条約破棄」というカード

早川 忠孝

切るかどうかはともかく、アメリカ側にも日本側にも「日米安保条約破棄」というカードがあることはよくよく認識しておくべきだろう。

Gage Skidmore / flickr:編集部

アメリカ・ファーストを標榜するトランプ大統領が日米安保条約の表層的な部分にだけ着目して日米安保条約の破棄に言及することはあり得る話である。

対米自立を声高に主張される方々だったら、これ幸いとばかりに日米安保条約の破棄と自主防衛力の強化路線に突っ走るところだろうが、私が見ている限りそういう国会議員は与党にも野党にもいない。

アメリカのトランプ大統領が日本に大胆な譲歩を強いる取引材料として日米安保条約の破棄を持ち出すことはあっても、本気でアメリカがそんなことをやるはずがない、というのが大方の人の見方だろうと思っている。

私も、そう見ている。
しかし、その一方で、ひょっとしたらひょっとするぞ、という警戒心もある。

安倍政権の間は、日本はトランプ大統領からどんな横車を押されても最終的にはアメリカの要求を呑んでしまうだろうから日米関係の亀裂が顕在化することはないだろうが、アメリカの横車が過ぎると日本の側からも日米安保条約破棄の声が上がってくるかも知れない。

事は日本の安全保障、国民の安心保障の根幹に関わることである。
迂闊に騒ぎ立てない方がいいと思っているが、国会議員の皆さんは万一の事態を迎えた時に慌てふためかないで済むように、今の内からそれ相応に勉強しておかれた方がいいはずだ。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年6月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。