G20サミットの交通規制を東京オリンピックでの参考に

川松 真一朗

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

G20大阪サミット開催!

いよいよ明日明後日で2019G20大阪サミットが開かれます。G7メンバーであるフランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダに加えてEU、ロシアに新興国11の国・地域が集い、更には招待国や世界の主要機関が集って世界経済や様々な課題について話し合いが行われます。日本がG20サミット議長国を務めるのは初めてで。

前述のような多くの国が参加する事から日本が主催するサミットとしては史上最大規模となります。世界のGDPの8割を占めるG20として世界経済の成長と繁栄のために大きな役割を果たすべく日本は議長国として力強いリーダーシップを発揮していく場となり得ます。また、世界各国から代表団、ジャーナリストが集いますので、日本の魅力を世界のインフルエンサーにアピールできる絶好の機会となります。

注目は交通規制のあり方

さて、都議会議員である私がG20サミットに注目するのは交通輸送体制です。来年のオリンピック時のシミュレーションとしてどうなるか継続してウオッチしてきました。例えば、本日6月27日から30日までの4日間、大幅に高速道路に規制をかけます。例えば、27日は阪神高速道路環状線を中心とした複数路線と湾岸線上りにおいて、通行止め規制を最長早朝から深夜まで継続して実施されます。ちなみに阪神高速道路の通行料金は交通規制の有無に関わらず通常料金となります。(ETCご利用距離、現金車は利用入り口から通常時に利用可能な最長距離に応じた料金)

またG20大阪サミットに伴う混雑予想個所として、要人が往来する大阪(伊丹)空港周辺、関西国際空港周辺、要人が宿泊する市内中心部、そして会議が行われる南港エリアです。これらのエリアについて、かなり前の段階から交通規制をかけますと再三にわたって大阪ではアナウンスがされていました。つまり、サミット期間は自動車乗り入れを控えるお願いをし続けたという事になります。

昨年10月から考えを広めてきた

実際には昨年10月「G20大阪サミット交通総量抑制連絡会」において、マイカー利用自粛と業務車両の平日通常時50%削減目標を設定しました。これは削減目標が達成できれば、大規模かつ長時間の交通抑制を実施しても通常と同程度の走行が出来るものと見込み、マイカー通勤の方へは電車での通勤として頂く、家族旅行や買い物に行かれる方は電車を使って頂けるようにお願いを重ねてきたのであります。

物流業者には27~30日の4日間について物品の納品を前後にズラして頂いたり、深夜・早朝の時間帯に輸送時間帯を変更して頂くなどの対策を行政側も現場側も理解を深めて本番を迎える事となりました。ちなみに、この連絡会は複数回重ねられて、経済界、国、警察、高速道路会社、日本郵便などの代表者がメンバーとなっています。

以前、安倍総理が吉本新喜劇に出ていたというニュースをご覧になった方もいるかもしれません。これも、G20大阪サミットの交通規制呼びかけの一環でした。中には、「総理が新喜劇で何やってるんだ!」という本質を捉えない批判もあったようでしたが、様々な形で広報することで誰もが混乱しないサミット運営をとい思いの表れです。また、大阪府警はコンビニチェーンのローソンとコラボして、割引チケット付きのG20チラシを出しました。このチラシには「近畿地区のローソンはG20大阪サミットの成功を応援しています。」と記されています。

(↓参考記事:ローソン5月20日産経新聞)

G20で交通量オフ目指し 値段もオフ ローソン

大阪4日間、東京はその数倍の期間

このような地道な広報活動を重ねて、今日から4日間の交通規制の臨むのが大阪です。私が緊張するのは4日間でここまで神経を使って時間を使って準備してきたという事です。来年の東京オリンピックは更に長く2週間以上の交通規制になる事が予想されます。各地のお祭りなどで交通規制かけても1日や2日、超大規模の首都の道路を止める東京マラソンも日曜日に1日です。

ここに日々の経済活動に影響が出ないようにするにはどうすべきかと、リオ大会後から言い続けてきたのが私です。正に2020年7月、私達は未知の領域へチャレンジする事になるのです。ただでさえ、現代の都市活動において物流は日に日に成長している中で、大会関係者はもとより、オリンピック需要で地方からも東京に人が集まってきます。昨日の都議会委員会でも指摘しましたが、サミットではさすがに一般人が大阪に集まってくる事はないわけで、東京は大阪よりも難しいオペレーションが待っているのです。

生産ラインの調整もサミットに合わせて

大阪での対策を調査していくと、G20大阪サミットに合わせて大阪港に入ってくる船の流入にも気を遣われてきました。たとえ、船が入港して荷を陸に上げても、大阪市内に規制があると、そのコンテナの陸送が渋滞にはまって、こんどは港での渋滞を誘引しかねない。だからと言って、この4日間は陸送をやめようとなっても、仮に海外生産品を入れる場合には海外工場の生産ラインの調整も必要になるわけです。

場所や工場の内容にもよりますが4か月前から調整をかけてきた業界もあるようです。つまり、2月頃から海外工場を調整し、6月末の大阪入港から各地への陸送を考慮して、たとえサミットが開催されても経済活動が混乱しない対策を十分に練ってきたところであります。

ラストワンマイルに私達は目がいきがちですが、実は物流導線は奥が深いものです。もちろん、ラストワンマイルにも課題があり、コンビニの商品配送も各社が規制を考えた上で対策を練っていきます。前述の東京マラソンや花火大会があっても、基本的にスムーズに運営できている事からも彼らには彼らのノウハウがあるわけです。

昨日の都議会委員会でも発言しましたが、私が再三再四、市場移転問題で小池知事や東京都幹部に向かって言い続けた、環状2号線本線開通がなければ「経済活動は影響をうけかねない」という指摘が現実のものになりそうで、ちょっとビビっています。小池知事に対して、環状2号線開通を「地上部道路」という名の仮設で乗り越えられるかのような詭弁を伝えた側近がいるならば戦犯ものです。別の機会にしますが、選手村の出入りオペレーションが当初計画から少し変わった事で、多くの業界や団体が戦々恐々としています。

しかしながら、役人も業界もみなプロです。決められた枠の中で完璧な運用をして下さる事は間違いありません。

小池知事のリーダーシップが求められる

先の都議会本会議でも述べましたが、それ故に小池知事は開催都市の長として、もっとど真中に立って、各企業にもお願いすると同時に、都の方針、予測を1日も早く公表し、大阪のように万全の体制で開会式を迎えて頂きたいと考えています。今の、輸送体制には2つの課題を感じています。それは総論は出来上がっているけど各論が出来上がっていない。だから、企業は現場の運用でモヤモヤが残る。また、東京都の各セクションでは専門的に自分達の視点で対策を考えているがそれが一本の道として繋がっていない。つまりは縦割り行政の弊害です。

私達は大阪の経験を糧に、皆様の日々の都市活動とオリンピック時のオペレーションが共存共栄できる最高の準備を進めていきます。

川松 真一朗  東京都議会議員(墨田区選出、自由民主党)
1980年生まれ。墨田区立両国小中、都立両国高、日本大学を経てテレビ朝日にアナウンサーとして入社。スポーツ番組等を担当。2011年、テレビ朝日を退社し、2013年都議選で初当選(現在2期目)。オフィシャルサイトTwitter「@kawamatsushin16」