現代では、やっとギャンブル依存症の話題が少しずつ社会で語られるようになりましたが、実際には、まだまだ正しい知識は啓発されていません。
困ったことに、勝手なイメージで思いこんでいる人が多いのですが、その中でも、ギャンブル依存症者の早期介入を阻む難関の一つは、ギャンブル依存症者を従業員に持つ、もしくは持っている中小企業の経営者達なのです。
ギャンブル依存症者は、仕事ができたり、働き者も多いです。
実に普通の人に見ますが、皆様方の手に負えるような、一筋縄でいく人達ではありません。
また、経営者の方はどうしても会社の都合を考えるので、依存症より人員配置を優先したりするんですよね。
でも止めた方が良いです。
温情をかけてもそれで回復したりしませんし、問題がますます悪化するだけです。
どんなパターンで困るか、書いてみますので、どうか経営者の皆様方にご一読頂下さい。
そしてこういう経営者が周囲にいらしたら「それはやめろ!」と是非アドバイスをお願い致します。
1)横領を働いても雇い続ける
信じられないことに、共依存の強い社長たちは、ギャンブラーが横領を働いても「今度だけは許してやる」などと言って雇い続けます。
それを優しさと勘違いしていたり、そんな自分に酔っていたりします。
そして横領した金額を親に払わせるか、給与天引きにします。
するとその罪悪感で本人はますますストレスからギャンブルが必要になります。
家族も巻き込まれ大金を失います。
また、天引き生活で常にお金が欠乏していると「ギャンブルで稼ぐしかない」とギャンブラーは考えます。
そして再発し、被害金額はますます膨れ上がり、どんどん状況は悪くなります。
2)精神論が大好き
一代で、財を成し遂げたり、会社を切り盛りしている社長は、とにかく「自分語り」が大好きです。
そのため自分の成功パターンを誰にでもあてはめたがります。
自分が励みにしていたことだったり、自分が尊敬する人が実践していることを、ギャンブラーに押し付けたりします。「トイレ掃除」とか「マラソン」とか「挨拶」なんてよくあるパターンの精神論に心酔していたりします。
あとは「友達を大事にしろ」「本を読め」「俺の場合はな…」という、長々とした自慢話をまぜた説教も大好物です。
ギャンブラーは神妙な顔をしながら「うぜ~!」と思って、一刻も早くこの場が終わるよう願っています。
そして解放されたとたん、ストレスからギャンブルに走っています。気分が良くなっているのは社長だけで、ギャンブラーはますます自暴自棄になっていきます。
3)実は気が弱くいざとなると逃げだす
このようにギャンブラーには上から目線で、自分にがっちり囲い込んでしまう経営者というのは、つまり自分より弱い立場にある人を使って、自分の優位性を確認していたい人なので、いざとなるとめちゃくちゃ勇気がなく、全く頼りになりません。
ギャンブラーが「闇金に借りている」とか「ヤバい組織から追い込みをかけられる」なんて言い出すと、とたんにビビっちゃって「こちらに迷惑がかかると困るので、すぐに闇金のお金を清算して貰いたい」などと親に言ってきたりします。
ハッキリ言ってチキンです。
しかもですね~、不思議なんですけどチキンって「闇金ウシジマくん」とか好きなのでしょうか?
ああいう人に憧れちゃうんですかね?
ドラマの見すぎとしか思えないんですけど、「追い込みをかけられる」とか「家族中めちゃくちゃにする」とか「東京湾に沈める」みたいなごたくを本気で信じちゃうんですよね。
それで大騒ぎをする…
私がギャンブラーに「じゃ、ちょっとそこに案内しな。行ってやっつけたるから。」なんて言いだすと慌てふためき出すのです。
闇金に端金借りたぐらいで、そんなことになるわけないじゃないですか…闇金だって身が持たないですよ(笑)
以上、困った経営者のあるあるです。
是非、拡散して下さい。
とにかく、ギャンブル依存症者がギャンブル絡みの金銭問題を起こしたら、すぱっとクビにして下さいね。
場合によっては警察に突き出して下さると、びしっと底つきになって、尚よいです。
田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト