地方創生と地域の持ち味:喜多方でらーめんを食べ歩き

20年ほど前に、地元の支援者と喜多方に訪問した際に「朝ラー」を体験しました。この20年の間に日本も世界も大きく変化している。少子高齢化、一極集中と過疎化、社会保障不安、経済の低迷…。こうした中、地方都市はどのように変化し、生き残りをかけているのか、ふるさと創生、地方創生と施策名も変化し、そのたびに税も投入されてきたけれど、結果はどうなっているのだろうか。

人口47,000人、ラーメン店170軒。喜多方老麺会加盟45軒。札幌、福岡と共に3大ラーメンの一角を占める。20年ぶりの喜多方、街はどうなっているのか、ラーメンの街づくりは成功しているのか。20年前に連れて行ってくれた支援者は亡くなり、今度はそのご子息と共に喜多方を訪問したのです。

午前2時45分横浜市青葉区を出発、東北自動車道を通り、喜多方に到着したのは6時45分でした。到着場所はラーメン店、朝食はもちろん「朝ラー」です。お店は7時から。先頭に並んでいると続々とお客が並び始める。車のナンバーを見ると地元の会津ナンバー、東京のナンバー、他の地域のナンバー、もちろん会津ナンバーが多い。土曜日の朝故に、スーツ姿の人は見かけなかったが、平日は朝ラー後に出社という人も多いという。

スープにコクがあるが、さっぱりした醤油風味、7時からでも食べられるのです。お店はあっという間に満卓。客の回転も速く、スープが無くなり次第お店は閉店です。

10時におやつ代わりのラーメン。今度は塩味。10時半にお店に到着するも並んでいて、ウエイティングリストに名前を記入すると36番目。実際に食べ終わったのは12時半。おやつどころが昼食になってしまった。駐車中の車両ナンバーを見ると会津ナンバーよりも、周辺地域のナンバーが多く、関東地域のナンバーが少しあった。11時半には、スープが無くなる人数に達してしまったようで、予約受付は終了。たぶん、15時には閉店と思われる。

お昼に3件目のお店に行く予定がずれてしまい、お腹を空かすために喜多方の街中をドライブ&散歩・買い物。地元産の牛乳でつくったというコーヒー牛乳を地元スーパーで購入し、飲んでみるとこれまた美味しい。もちろん横浜では売っていないのだろう、見たことがない。

街中のメインは昔ながらの蔵が立ち並び、大規模改装されたもの、そのまま使われているもの、綺麗な街並みとなっている。その街並みから繋がる路地には入っていくとそれぞれラーメン店がある。その1つに到着したのは13時半。ここは、正にザ喜多方ラーメンでスープは濃いめ。流石に全て食べれないと思って食べ始めると完食したのです。美味しいと食べれるものです。

お店には喜多方老麺会のラーメンマップを持ち、ラーメン券を持ち食べ歩きしているグループがいました。20年の間に喜多方の街はラーメンの街として進化し、工夫がなされ、それぞれのお店は独自の味を追求し、競争している。もちろん、食べる人に合わない、美味しいと思えないラーメン店もあるでしょう。

それでも、全体で前進している感じを受けるのです。ラーメン店が単に数多くあるというだけでなく、地元の人たちが食文化として受け入れ、朝ラーを実践し、その姿がラーメン好きを呼び寄せるのだろうと思います。たまたま、僕は行ったお店で、街中で外国人観光客に出会うことはありませんでしたが、ラーメンは日本に旅慣れた外国人観光客にはたまらないコンテンツであるはずです。

地方創生にしても、インバウンドにしても、急に成功モデルを作り上げることなど出来るわけありません。長い時間をかけて地元がつくり上げるものであり、単に流行りの病のようなことに手を出しても失敗してしまう。人が集まる街をつくることは簡単ではありません。自治体、地元が一致結束して、ぶれずに進むことが難しいからです。

喜多方、僕は4時間かけてまた来たいと思うのです。そう思わせる街がここにあるということです。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2019年6月28日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。