廃プラ問題:ペットボトルを減らせ

廃プラ問題は現代の世界環境問題の中でも最重要で喫緊の課題の一つです。6月に原田環境大臣がスーパーのレジ袋の有料化方針を発表しました。来年のオリンピックまでには実施したいとの意向を示していますが、法制度化するには今秋の国会承認が必須であります。私からすれば日本は環境対策が相当遅れていると感じています。一方、G20では2050年までにG20加盟国でゼロにすると宣言を出しました。

カナダではレジ袋有料化はずいぶん前からのシステムで大半の顧客は袋持参で買い物に行きます。私もズタ袋を提げて買いに行くのですが、それが当たり前になっているので日本でスーパーに行くときも必ず袋を持参しています。日本でも一部のスーパーではすでに有料化が始まっており、むしろそういう環境センシティブなスーパーを選択基準の一つにするという考え方もあるでしょう。

写真AC:編集部

ではペットボトル。日本は気象条件と健康のために水分補給は極めて重要な行動規範となっています。その結果、ペットボトルの水はオフィスにも会議室にもハイキングにも通勤にも必然的になっています。これも実はカナダあたりだと景色は違います。

マイボトルを持ち歩くことがむしろ格好良く、しゃれたセンスのボトルをリュックからひょいと取り出して一口飲むのはおしゃれです。このボトルも決して安いものではなくひとつ3-5000円ぐらいはするのですが、若い世代を中心にこんなのをいくつか持つ人が増えているのも事実です。最近の若者はカバンではなくてリュックを使う人が多いのでマイボトルを持つスペースは十分あるのではないでしょうか?

さて、先日報道された「大阪湾にはレジ袋が300万枚沈んでいる」という推測データには衝撃が走りました。我々が小さいころ、日本の河川は汚染され、魚は消えました。そこから時間をかけて少しずつ河川の汚染を止め、環境整備し、今では魚がたくさん泳ぐのを楽しめる川が増えました。

大阪湾のケースはほんの一例でこの問題は日本全国に広がっているでしょう。プラスチックが小さくなったものを魚が食べ、それを人間が食べるとどうなるか、という問題も提起される中、まずはプラごみが海に流れ出すそのルートを見つけ完全に防止することが先決でしょう。

次にレジ袋とペットボトルの供給を絞り込む方法を編み出す必要があります。私はレジ袋の有料化とともにペットボトルも廃棄料の付加を行うべきと考えます。例えばボトル当たり10円程度を常に付加したらどうかと思います。いわゆる税金にも目的が明白で用途もある程度決まった種類もあります。ガソリン税で道路を整備するというのと同じです。ならば、ペットボトル税で環境問題対応をすることに対する国民理解は得られやすいのではないでしょうか?

もしもこれに反発する人がいるならマイボトルを勧めるか、植物由来のボトルの飲料を買っていただくという誘導ができるはずです。植物由来のボトルは現時点では完全なものがないにもかかわらず、価格も2倍程度するとされていますが、集めた税金の一部をそういう開発に使うというのもありでしょう。

税金も使途が見える化することで全く違ってきます。かつての税金が不明瞭、ガラガラポン、省庁の利得などといわれている発想をすっかり変える良いチャンスだと思います。

ペットボトルはある意味、便利さも手伝って一気に普及し、我々の生活の一部となっていますが、その影響は海にあったということを改めて認識し、改善に向けた努力をするにはよい機会かと思います。

原田環境大臣とは大臣になる直前に安居酒屋で飯を共にしたことがあるのですが、非常にまじめで熱血感です。自民党にこんな良い方がまだ残っていたのだと思ったものでした。

期待しています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年7月2日の記事より転載させていただきました。