なぜ麦茶もNG?小学校持参水筒の中が「水」限定のナゾ

上田 令子

それは、江戸川区内のあるママからの「小学校の水筒の中身が、氷入りもダメ、麦茶もダメ、真水のみでないと持参できない。中学はスポーツドリンク(通称スポドリ)も、ミネラル麦茶も、氷入りもOKなになぜなのか?」と届いたSNSメッセージから始まりました…

イノベっさん/写真AC(編集部)

驚愕の水筒の中身ルール

そこで、お姐は各種SNSでこう呼びかけたのです。

★江戸川区立 #小学校の水筒持参問題★

区内では、スポドリ麦茶禁止、氷なしの水のみ可のところから、氷入り水も麦茶OKというところありバラつきが。確認したところ教育委員会でのガイドラインはなく学校長判断のことでした。塩分チャージの為ミネラル麦茶持たせたいママの声が届いてます。
熱中症対策には冷水の方が良く思われるし氷水がダメなら水筒持ってく意味がなく、禁止の根拠が不明です。経口補水液が保健室にあると言っても具合悪くなる前の水分塩分補給が大事なはず。因みに中学は麦茶もスポドリもOK。
皆様の小学校は如何ですか?教えて下さい!」

すると、いやー区内外から沢山の声が届いたわけです。(お姐FBはこちら)
代表的なご意見を、ご紹介します。(一部抜粋)

「先日小学校から、水筒についての手紙が配られて、中身は水のみということでした。
中学校は、水、麦茶、スポドリOKとなっています。スポドリは、糖分もあるので、ダメな理由がわかります。が、なぜ麦茶がだめなのか!5月でも熱中症が出る中、ミネラル、塩分をとるようにと毎年騒がれているのに、ミネラルが入ってる麦茶がだめと。そんな、無茶なお願いをしてるつもりもなく、子供達を考えて、なのですが…」

「水筒は、水が飲めない、薬を飲むために自宅から水を持って行きたいなど、何かしらの理由が無いと持ち込みは禁止です。」

「うちの小学校がなんで頑なに夏場の水筒持参を許可してくれないのか、年々暑くて熱中症で救急搬送になる子もいるのに、なんで対応をしてくれないのか。子供たちのことをちゃんと考えて、学校ごとのバラバラな対応ではなく、統一して欲しいと思ってます。」

「たかが、水道の中身を、水と麦茶、どちらでもいいですよ、あとはご家庭の判断に任せてますと手紙をくれればいいだけなのでは?納得いかない…」

「今年から水筒持たせます!と申告が必要になりました。水筒持参についてのお便りがあって、持たせます!保護者サインとハンコを押して提出が必須」

「私の息子の中学も娘の小学校も麦茶もスポドリも氷も大丈夫です」

「目黒区立、小中学校は問題なし。むしろ中学では夏は持ってきて、みたいな感じでしたよ」

「うちの子供の小学校は水か麦茶ですね~。氷も大丈夫ですよ。スポドリは小学生はダメですけど中学生は大丈夫です」

「息子の小学校も麦茶OKですよー」

「今年から麦茶NGになりました。学校に忘れてくさるからとのことですが、水も同じでは?と思います。他にもいろいろ小学校の不思議はあります。」

「昨年の猛暑から、何でもOKになりました。もともと、水、お茶はOKでした。※運動会では塩タブレット配布しました。江東区内 小学校です。むしろ、必要であればスポドリ推奨な勢いで、親と子の常識を信頼して頂いている感じです。」

「娘の小学校は水かお茶、氷入りOKです。娘には麦茶を持たせています。余談ですが、水筒持参が開始される前に、食中毒が出たら水質調査(?)に応じますみたいな同意書が配布され、学校へ提出しました。」

「江戸川在住です。うちの小学校は水かお茶。お茶の種類に特に制限はなかったと思います。氷については自由だと認識しています。持参するしないも家庭に任せている感じです。運動会の時はスポーツドリンク可でした!同じ区内で、氷無しの水のみの学校があるなんて知らなかったです。」

「南葛西小は麦茶までOKです。氷もOK」

「江東区の小学校ですが、水か麦茶かスポドリです。しかし、氷がダメと案内がありましたが子供は、氷がないと生ぬるくて飲む気持ちになれないって言ってましたよ。うちは氷入れてました!先生から指摘有ればなしにする予定でしたが特に言われませんでした。」

*****

とまあ、異様に厳しいところもあり、寛大なところもあり、合理的なところもあり、もう学校ごとにそれぞれに違った対応となっていることが判明し、びっくりギョーテンしたわけです。

国の熱中症予防対策は水筒の中身を決めていない

お姐による上記「水筒の中身おしえて」SNS発信にあたっては、まず江戸川区教育委員会において「水筒の中身」ガイドラインは存在せず、校長先生判断ということを区教委に確認しておりました。さらに東京都教育委員会へは、そもそもの熱中症予防対策につきどのような通達が区市町村に出されているのか以下を確認した次第です。

・各学校に対する熱中症の予防対策の啓発について(依頼)(令和元年5月21日付)
東京消防庁→東京都教育庁

・熱中症事故の防止について(依頼)(令和元年5月24日付)
文科省→各都道府県教育委員会

・熱中症事故の防止(通知)(令和元年5月27日)
東京都教育庁→区市町村教育委員会

・平成30年熱中症による救急搬送状況の概要  夏本番から熱中症予防対策を(資料)

これら文書を目を皿のようにして見た結果…

小学生の持参水筒の中身は「水のみ」「氷ダメ」「麦茶ダメ」「スポドリダメ」などとは一行も触れていませんでした。

さらに文部科学省からの通知文冒頭には、

熱中症は、活動前に適切な水分補給を行うとともに、必要に応じて水分や塩分の補給ができる環境を整え、活動中や終了後にも適宜補給を行うこと等の適切な措置を講ずれば十分防ぐことが可能です。また、熱中症の疑いのある症状が見られた場合には、早期に水分・塩分補給、体温の冷却、病院への搬送等適切な処置を行うことが必要です。

と、あるではないですか?!

平成30年熱中症による救急搬送状況の概要資料より「熱さ指数を用いた指針」

これによれば、24℃未満でも
通常は熱中症の危険は小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要
と!さらにあるではないですかっ?!
ママ達の叫びの「塩分補給したいからミネラル麦茶を」という思いはまさに理にかなった切なる要望だったのです。

校長の学校管理権は水筒の中身まで及ぶ?

校長の「学校管理権」というものがあるのはご存知でしょうか?

学校が、教育目的を達成するために校長が、学校全体を管理監督することが定められています。(詳細)これに基づいて、校則を始め、学校生活に関する各種取決め・ルールが各校の校長判断に委ねられているということです。これがなくては秩序ある学校運営は成り立たず、合理的な目的によりあってしかるべき管理権であることを否定するものではありませし、ほとんどの児童・生徒、保護者も粛々と従っております。

が、しかし、児童・生徒も、保護者も、もはや何のためにやってるの合理的には思えない「おかしいな?」と思う謎の学校ルールがあるのも否めない事実。その象徴となったのが、今回の今「真水」水筒ルールではないでしょうか?

前述の文科省通知では

学校の管理下における熱中症事故は、ほとんどが体育・スポーツ活動によるものですが、運動部活動以外の部活動や、屋内での授業中においても発生しており、また、暑くなり始めや急に暑くなる日等の体がまだ暑さに慣れていない時期、それほど高くない気温(25~30℃)でも湿度等その他の条件により発生していることを踏まえ、教育課程内外を問わずこの時期から熱中症事故の防止のための適切な処置を講ずるようお願いします
とあります。熱中症は毎年注意喚起されるように、気分が悪くなってからでは遅く、その前から水分塩分補給していなければならないわけです。これを受けてなぜ…

氷だめ、ミネラル麦茶ダメ、スポドリダメ、「真水」のみという管理権を発動する学校があるのか、なぜ校長でルールが違うのか?

合理性どこにあるのか?子どもの命を守るために本当に決めているのか?

不思議で仕方ありません。

真水小学校で塩分不足になる子ども、ミネラル麦茶小では大丈夫な子ども。同じ公教育のもとで、差がついて悲しい事故にならないか、昨年も今年も都内公立小で熱中症事案も報告されているというのに都議として、カーチャンとして不安でたまりません。

水筒の中身まで学校管理権が及ぶのか?

持ち物検査は人権侵害

昭和の時代はむやみやたらに持ち物検査をするわ、下着の色まで指定するわ、誠に物騒なことが横行しました。今は、文科省は学校管理権が及ばないとし、人権侵害であり、許されないとされています。警察であっても、裁判所の許可がなければ、所持品のチェックはできないのです。
よって、水筒の中身の検査は学校管理権をもってしても、できないということであります。
↑ココ重要‼️

お姐総括!

水筒の中身を限定することに、科学的エビデンスと合理性があるのかどうか?
調べられもしないことをルールにする意味があるのか?
そこに、子どもの健康が最優先となっているか?
学校の手間を省くことが自己目的化していないか?真水校長先生に問うてみたいものです!

が、まずは、真水校長先生は、寛大校長先生と校長会(所管:区教委)・管理職研修(所管:都教委)でぜひ縦割り行政を超え子どもの命のため意見交換をしていただき合理的判断の共有を有して頂きたいものであります!水筒真水問題に限らず、謎ルールが横行する実態解消のため学校管理権は合理性をもって行使すべし!

今後も、謎の学校ルールへの疑問はお姐までお寄せください!

上田 令子   東京都議会議員(江戸川区選出)、地域政党「自由を守る会」代表
東京都議会議員(江戸川区選出) 白百合女子大学を卒業後、ナショナルライフ保険(現ING生命)入社後、以降数社を経て、起業も。2007年統一地方選挙にて江戸川区議会議員初当選(44名中6位)。2期目江戸川区議会史上最高記録、2011年統一地方選挙東京都の候補全員の中で最多得票の1万2千票のトップ当選。2013年東京都議会議員選挙初当選。2014年11月地域政党「自由を守る会」を設立し、代表に就任。2015年3月地域政党サミット(全国地域政党連絡協議会)を設立し、副代表に就任。公式サイト