勝って良し、負けて良し、の選挙戦術だろう
やるもんだな、と思っている。
舌を巻くまでのことはないが、ある種の見事さを感じている。
山本太郎氏の全国比例区への立候補はある程度読めていたが、参議院の特定枠をこんな風に活用するとはまったく想定していなかった。
これで、社会的弱者に対して手を差し伸べることを標榜している政党の支持者の方々の目がれいわ新選組の方に向けられていく可能性が高くなった。
いよいよ社民党は窮地に追い込まれそうだ。
共産党の支持者の票までれいわ新選組に流れるとは思っていないが、社民党の存在価値がどんどんなくなってきているように思われてならない。
これまでの世論調査では殆ど数の内に入っていなかったれいわ新選組が、これで有権者の皆さんの選択肢に入ってきたことは確かである。
1議席獲得は確実だろうと囁かれていたれいわ新選組である。
山本太郎氏が東京選挙区からの立候補を取り止めて、あえて全国比例区から立候補することにしたため、全国比例区で山本太郎とれいわ新選組の合計得票が300万票から350万票に達しなければ山本太郎氏本人の当選は覚束ない、ということになった。
あまり認めたくないことではあるが、山本太郎は漢だなあ、と言わざるを得ない。
自分自身のことは二の次にしているようなところがいい。
選挙では、頭の良さを競い合っても仕方がない。
理よりも、情が勝つ世界である。
自己犠牲を厭わない人かどうかを大方の有権者は見ているはずである。
ちょっと熱すぎるが、熱い漢であることは間違いなさそうだ。
これで勝てば、してやったり、というところだろうが、これで負けても次がある。
山本太郎氏の陣営に相当の軍師がいることは間違いない。
将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、という選挙戦術の一つかしら
沖縄の創価学会壮年部の人をなんで東京選挙区から立候補させるのだろうか、と私も不思議だったが、公明党の土台を揺るがすためには沖縄ではなく、公明党本部のある東京でなければならない、と山本太郎氏のブレーンの方々は考えたのかも知れない。
創価学会員による公明党への挑戦である。
選挙に強いと言われてきた公明党の真価が試される時が来た、ということだろう。
一枚岩だと言われてきた公明党の岩盤に罅が入っている、ということは沖縄県知事選挙の結果である程度見えていたが、その罅を不可逆的に拡大しようというのがどうやらこの度のれいわ新選組の狙いのようである。
多分、ご本人にとって当選するかどうかはどうでもいいこと。
生粋の創価学会員として、公明党に真正面から現在の公明党の在り方を糾す、というところにご本人の主眼がありそうである。
この戦いの持つ意味は、結構大きい。
これでこれまで一体だと思われていた公明党と創価学会員の間に大きな亀裂が走るようだと、自公連立政権の基盤そのものが揺らいでいく可能性がある。
部外者があれこれ言うよりも、中にいる人々の間で論争が巻き起こる方が関係者にとって脅威のはずである。
創価学会の内部で何らかの異変があるのかしら。
それにしても、れいわ新選組は大変な戦いを仕掛けてきたようだ。
さて、どういうことになるのだろうか。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年7月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。