北海道新聞にインタビューが掲載された。
就職氷河期世代に国が支援策 労働者の実態とズレ:北海道新聞 どうしん電子版
お陰様で、専門家として、ロスジェネの当事者としてこの問題についてマイクを向けられる機会が多く。参議院選期間には全国紙、地方紙にインタビューが載る他、ラジオでもコメントすることになっている。
今日から選挙が始まったわけだが…。
野党は、与党を上回るロスジェネ支援策を打ち出すべきだ。
この件、学校から職業への移行の機能不全の問題である。環境が変化した。「景気が悪くなった」という単純な話ではない。そもそも、日本の雇用に関する問題はロスジェネ問題以前は中高年の「出口」に関するものであり、若者は問題とされてこなかった。未経験で白無垢の若者を組織に迎え入れる新卒一括採用の負の側面が出たとも言える。そうであるがゆえに「自己責任」という言葉で片付けることはできない。
いかにも反自民な私だが…。就職氷河期世代支援については、行うこと自体は賛成だ。この件は前田正子さんの『無子高齢化』(岩波書店)でも主張している。ただ、問題は対策の仕方だ。
この件、「遅かった」という声があり、私もそう思うが…。「本格的な対策」としては遅かったが、今までもロスジェネ支援が行われてこなかったわけではない。ハローワークにしろ、ジョブカフェにしろ取り組んできたし、2000年前後に全国の大学で行われた「キャリアセンターの強化」も就職氷河期対策の色はあった。
問題は、やり方が当事者たちのニーズや課題とズレていたことだ。むしろこれまでの取り組みを振り返るべきだ。
私は2009年から数年、当時の勤務先で若年層雇用対策関連の仕事を受託していた。数々の対策が行われたが、支援施策の会場はいつもガラガラ。当事者たちに施策が届いていなかったし、彼らはそもそも生きるのに精一杯で時間もお金もなかった。やや暴論ではあるが、私は就転職に本気で取り組む人のために、生活のためのバウチャーを配布したり、就転職お祝い金を支払うのも手だと思う。それくらいお金も時間もないし、体力的にも精神的にも疲弊するのだ。
「この地域、この職業なら仕事はあるぞ」と言わんばかりのマッチング施策が打ち出されているが、過去の取り組みからまったく学んでいない。これらの世代、当事者のニーズを捉えていないわけだ。
この手の話をすると「とはいえ、君はロスジェネの勝ち組だろ」みたいな話もされたりする。それはまったく別問題だ。勝ち組だと思ったことはないという私の感情自体、これまたロスジェネっぽいが。客観的にどうであれ、だからどうしたという話であり、社会を前に進めるために、今日も考え、論じるのだ。
道新のインタビューでは、道知事の鈴木氏始め、ロスジェネ当事者の政治家たちはもっと発言すべきと言った。自民党青年局のメンバーもそうだし、この問題についてずっと発言している立憲民主党吉川議員には引き続き、そして東京選挙区の塩村あやか候補には、より具体的にこの問題について、与党を超える勢いで語って頂きたい。
社会のために、未来のために、勇躍決起した次第だ。微力だと思いつつも、中年の魂を戦闘的に高揚させたのだ。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2019年7月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。