利用できるものは何でも利用すべし、というのが選挙に携わる人たちの普通の感覚だろうが、目先のことばかりに気を取られて大事な筋を見逃すことがあるから、注意された方がいい。
参議院選挙に特定枠を導入したのはあくまで自民党であって、自民党の党利党略に乗ってしまって特定枠の導入に賛成された方々は頭を冷やしていただきたい。国会議員の定数削減が叫ばれていたのに、自民党の都合で参議院の定数を増やし、ついでに特定枠を導入した。
私から言わせれば、随分愚かなことをやってしまったものだなあ、ということになる。
政府与党の都合でこんな風に選挙制度を弄ってしまうことに私は基本的に反対である。
これも一種のゲリマンダーだろうと思っている。
山本太郎氏が参議院の定数増や特定枠の導入に賛成したのか反対したのか知らないが、れいわ新選組はどうやら安直に特定枠を利用してしまったようだ。批判精神が旺盛のようで、案外こういうことには無頓着のようである。
特定枠に重度障害者の方を当て嵌めたことの可否、当否について一部で姦しい議論が巻き起こっているようだが、そういう議論はさておいて、特定枠は今回限りで廃止した方がよさそうである。
参議院の全国比例区の選挙も段々候補者の名前で投票するようになっている。
山本太郎に国政の場で何とか頑張って欲しいと思って山本太郎に投票したのに、実際には特定枠の候補者を押し上げるためだけの投票になってしまう、というのは、どこかおかしい。
憲法違反だ、などとは言わないが、投票者の投票権の侵害だ、くらいのことを言ってもいいかも知れない。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年7月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。