税金:中チャン。参議院議員選挙スペシャル

中チャン。参議院議員選挙スペシャル。
9日目は税金です。

「税は国家なり」

という言葉がありますけれども、私は税制というのはなるべくわかりやすい方がいいと考えています。
戦後、日本の税制の根幹ができてから年々複雑化してきています。また、勤務先からの源泉徴収で税を納めている人も多く、納税意識が薄いと感じています。

この際、私の理想論を言っておきたいと思います。
私は、「できるだけ簡素な税制にして、誰もが確定申告した方がいい』と思っています。

例えば「収入多少に関わらず10%を課税する」、現在の累進課税と異なった税率を一律にするフラット・タックスです。経費など関係なく一律10%の課税です。そもそも税務署が、「これは経費、これは経費と認めない」などと裁量で決める、それが役人の力の源になっています。税に対する見解の相違というのが一体どれほど多いことか。

一律10%のフラット・タックスには反対が多いと思います。20%、せいぜい30%の累進税率でもいいと思います。いずれにしても反対が多いと思いますが、私はこうした簡素な税制を基本として常に考えていきたいと思っています。

所得税や法人税などの直接税と消費税などの間接税の比率を表した直間比率、日本は66対34、すなわち税総額の3分の2が直接で3分の1が間接税となっています。

ちなみにアメリカは日本よりも直接税のウェイトが高いですが、イギリス・ドイツ・フランスなどヨーロッパ諸国は半々に近い状態になっています。
参考資料

これからの日本は生産年齢人口が減る、すなわち労働者が減るわけですから、その減った働き手の所得税を維持するために、より税金をかけようとしたら、これでは重税感はどんどん増してしまいます。

ということは、日本全体にとっても、特に若い人にとっても、直接税よりも間接税を高めていく必要があります。その意味では、消費税のウェイトは大きくなっていきます。

その消費税ですが、この10月からの消費税引き上げ、これは消費そのものが落ち込まないか危険な選択ではあります。平成9年、消費税を3%から5%に増税した際、所得税・法人税も落ち込んでいきました。今回、ポイント還元やプレミアム商品券など数々の対策を講じますけれども、その懸念は残ります。また、今回の消費税引き上げでは簡素の逆で複雑になって、矛盾も出てくると考えられます。
その代表例が、軽減税率です。

消費税率が上がると、低所得者ほど生活必需品(食料品など)の購入割合が高くなり、高所得者よりも税負担率が大きくなると言われている。その対応策が軽減税率です。その結果、家の中で食べるものは生活必需品、外で食べるものは贅沢な食事ということになってしまいました。

従って、同じ商品でも税率が二つ、いわば「一物二価」です。ファーストフード店でも店内で食べると通常税率10%、持ち帰りの場合は8%の軽減税率です。同様に同じ商品でも、コンビニのイートインコーナーで食べる場合は10%、お持ち帰りの場合は8%になります。現状ではまだ2%の差でしかありませんが、良識ある大人はともかくとして、中学生や高校生などお小遣いで買い物をする子どもたちにとって2%の差は大きいわけで、持ち帰りを選ぶでしょう。

とにかく回転ずしは贅沢品として10%、特上の江戸前握りずしの出前を取った場合は生活必需品で軽減税率8%。こう考えたら明らかにおかしいと思います。こうした矛盾やはりおかしいので、今後も引き続き議論を喚起していく必要があると私は考えます。

もう一つ、新聞などには「食品など、軽減税率」と書いてありますけれども、などというのは一体何でしょうか。実は当の新聞だけです。新聞だけが食品以外では軽減税率で入っていますけれども、これもおかしいと思います。そうしたおかしいという声が政治の現場から国民の皆さんに届いていないと思います。だから私が言わなければいけません。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年7月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。