中チャン。参議院議員選挙スペシャル。
11日目は日本国憲法です。
1946年に現憲法が公布されてから今年で73年です。
長らく日本の政治では改憲か護憲かという立場の議論が平行線をたどってきたままで、具体的な中身の議論には入っておりませんでした。
私は憲法を変えない、護憲という考えを否定しませんし尊重します。
しかし護憲だから議論しないということは違うと思います。
共産党などは議論もしないという立場ですが、「反対だから議論しない。」これは憲法を含めてあらゆることで通用しないと思います。
憲法は政治権力の歯止めにもなりますが、何よりも我が国が目指していく理念です。
そして、あらゆる法律の上位にある規範方です。
我が国、社会にとって極めて大事なもの、それが憲法です。だからこそ、おかしなものは改め、足りていないものは書き加えていく必要があります。
私は、そうした議論を進めるべきだと考えています。
例えば、私は財政について憲法に書き加えていくべきだと思います。
どこの自治体を考えずに、財政を悪化させていくということは、まさに現権力者の権力乱用だと考えます。
しかし、そうしたことについて憲法の規定は何らありません。
現憲法にある財政の記述は、
第八十五条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
第九十条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
など、手続き的なもののみです。
財政規律について、せめて「将来世代に過剰な債務を残さないように努める」と憲法に書き加えるべきだと考えますし、ドイツやスイス、イタリアなどではそうした規律について憲法規定があります。
国も地方も、どんなに借金を残しても憲法違反ということにはなりませんので、憲法にそうした重みがあるべきだと私は考えます。
改憲・護憲で最大の焦点は第9条でした。
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
この第9条は小学生や素直な大人が読んでいたら、自衛隊は違憲と思うんでしょう。
以前、朝日新聞が憲法学者に実施したアンケート「現在の自衛隊の存在は憲法違反にあたると考えますか。」では、下記のような結果になりました。
憲法違反に当たる 50人
憲法違反の可能性がある 27人
憲法違反にはあたらない可能性がある 13人
憲法違反に当たらない 28人
無回答. 4人
憲法違反に当たらないと答えたのは約2割でした。
現憲法には、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と書いてあるわけですが、自衛隊は一体どこに入るんでしょうか。
自衛隊も自衛力もこれは保持しないというのが普通の日本語の解釈のはずです。
でも、「災害時に自衛隊は必要だから」「よからぬ国が日本に武力を突きつけてきたときに守ってもらわなければいけない」とか「自衛隊は必要だから」、だから合憲という人がいますが、これは論理矛盾です。
先ほどの「条文に入れ替えて、自衛力と自衛隊を記載する」のが筋だと思いますが、「現状の条文をそのままにした上で自衛力、自衛隊を書き加える」というのも現実としてありえると私は考えます。
緊急事態条項も必要だと思います。
大きな地震の後などで崩壊した建物や持ち主のわからない車が道をふさいでいる場合、緊急のための救助の車両や復旧のための車両が通るとしても、それを退かすことができない。
これが現憲法下での日本の現実です。被災地に向かう自衛隊の車両も渋滞に巻き込まれている始末で、そうした緊急時に限っては、憲法上規定された財産権を守るのではなく、私権を制限することができるように憲法改正が必要だと思います。
こうしたことが、「国家権力の膨張」や「国民弾圧に繋がる」と言う人もいますが、それは行き過ぎた議論ではないでしょうか。
前文も見直す必要があると思います。
代表例は、平和を愛する諸国民の公正と審議に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意したという箇所です。
ここでは構成と審議に信頼しというてにをはも日本語が間違っていますし、我が国のここでは、公正と審議に信頼しというてにをは日本語が間違っていますし、そもそも我々の生命他の国々の人に委ねるという内容も明らかにおかしいです。
———–憲法前文———–
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年7月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。