体験レポ:分娩数日本一の熊本福田病院は「妊婦の5つ星ホテル」

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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先日、奥さんが2人目の子供を出産しました。利用したのは年間3,941人(2018年)もの赤ちゃんが生まれる、日本一分娩数が多いという福田病院です。「日本一赤ちゃんが生まれる病院」として数々のメディアに取り上げられ、妊婦が行列を作る最強の福田病院を利用して見えてきたのは、赤ちゃんを無事に産む病院、ではなく「妊婦にとっての高級ホテルのスイートルーム」という姿です。

感動して、思わずTwitterでもつぶやきをしました。

制約の多い病院での生活

病院での生活は、入院する人にとってどうしても「制約」がついて回るものです。食事制限、規則に従った生活など、病院内には決まりがあってそれに遵守することになります。それは赤ちゃんを産むために入院する妊婦にとっても同じで、他の病院で出産を終えた方からは「分娩をする病院は自由度の高い刑務所のようで、とにかく一日も早く退院して帰りたかった」という話を聞いたこともあるくらいです。

お産の前後は体調は万全とは程遠い状態で、自由に好きな場所にもいけず、ちょくちょく診察も入り、生まれたばかりの赤ちゃんの面倒を慣れない状態で対応を余儀なくされますから、かなりの肉体的、精神的負担があります。

病院というのは、怪我をして入院する患者だけでなく、妊婦にとって多くは楽しい場所ではないのです。

贅を尽くした娯楽サービスの数々

その点、福田病院は他の病院と明らかに一線を画する存在です。福田病院の理事長によると、「お産は病気やケガと違い、女性の輝く1ページ」という思いがあって、入院したママにとって贅を尽くした娯楽サービスで溢れています。私は理事長の女性への愛を病院内のサービスで随所に感じました。

出産を終えた奥さんに会って驚いたのは、髪が綺麗にカットされ、ツヤツヤに輝いていたことです。これらは病院内のサービスだったといいます。また、髪だけでなく爪も磨き上げられており、全員エステも受けられて極楽浄土にいるような感覚だったと嬉しそうに話してくれました。

また、抱えきれないほどのマタニティグッズをお土産として受け取り、プールやフィットネスクラブまで完備されていますので、病院にいることを忘れてしまうほどです。

そして何よりすごいのは食事です。目の前で握るお寿司、手打ちそば、揚げたての天ぷらなど、ハイグレードな食事が朝昼晩の毎食で提供されるのです。私は出産前から付き添い、退院するまで頻繁に足を運んで病院内のサービスや食事を目の当たりにして、そのすごさに「ここは病院というより、妊婦にとっての高級ホテルのスイートルームだな」と感じたほどです。

参考までに実際の食事の写真をご紹介します。

入院した日が七夕で、七夕御膳が出てきました。

退院前日は夫婦でフレンチフルコースを堪能できます(無料)

▲病院内と思えない本格的なフレンチフルコースです。

▲味だけでなく、食器も本格的。

▲「お肉が苦手で…」と言うとシーフードがサーブされました。

赤ちゃんを産むために入院すると、5つ星ホテルに宿泊したような体験を楽しめる福田病院で、日本一赤ちゃんが生まれる理由が理解できたような気がします。

入院前に一人2万円のフレンチフルコースをホテルで頂いたのですが、正直、福田病院のフレンチフルコースはその時食べたフレンチ以上においしいと感じました。食への力の入り具合は、ハンパなレベルではないと驚かされます。

福田病院の弱点

福田病院についての体験レポでは、良いことづく目で書き綴られています。が、少し気になった点についても記録しておこうと思いました。

福田病院で勤務する助産師さんはかなりの人数です。一人目を出産した時は関東の病院でしたが、その時に比較してもかなり人数が多いと感じました(実際の人数は分かりませんが…)。病院も大型でスタッフも大勢いるので安心感はあります。

しかし、毎日担当が変わってしまうので、赤ちゃんの状態や自身の体調をイチから説明しなければならず、同じ担当の人が付いてくれる方が安心感があるように思えます。しかし、これは大型病院ならではの事情によるもので、仕方がないかもしれません。

また、入院前の検診の待ち時間はかなりのものです。「日本の国民皆保険制度では3時間待って3分の診察、アメリカは3分待って3時間の診察」と言う人もいるくらいですが、まさにそのとおりで2時間待っても診察は2分くらいです。地元の小さな産婦人科で検診をした時は2分待って20分以上懇切丁寧な解説を受けたので、やはり人気の高い大病院故の待ち時間があります。

しかし、こうした弱点は大きなメリットに比べると微々たるものです。健康保険組合に加入の場合は、子供1人の出産に対して出産育児一時金が原則42万円支給されます。今回の出産は手出しが一切なく、5つ星ホテル級のサービスを受けられましたので、コスパ面も最高です。

一人目を出産した関東の病院も十分良いものでしたが、10万円ほどの手出しがあり何よりこれほどの食事のクオリティはありませんでした。

院内で耳にした噂レベルではありますが、夫も宿泊できるようなサービスも検討中とのこと。福田病院がこれからどのように進化するのか、目が離せないと感じました。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。