金融庁の2000万貯金奨励で年金議論が再燃みたいですね。しかし、ホント、年金議論はよく分からんのです。もうなんて言いますか、なにがよく分からないのかも、よく分からんような…です。
たとえば、よく聞く世代間格差の問題も、賦課方式である以上、あまり言い立ても詮無いような気もします。そもそも賦課方式ならば名称は社会保険料ですが根本的には税と同じはずでして。
また最近、日本の年金制度は修正賦課方式という言説を知って、少し、驚きました。ただこれも、プロセスとして積立方式から修正賦課方式にしようと合意形成してきている訳ではなく、要は現状追認のためにできた概念ですよね。ホント、なんだかなあ、という気はします。
あと、よく分からないのは中田宏氏をはじめ、本来、小さな政府志向の方々に、積立方式復元派が多いことです。ソレって大きな政府志向のような気も。
個人的には2004百年安心の前の各種改革案のなかで、2002年「経済同友会の年金改革案」がベストではと思っています。
税式方式でナショナル・ミニマムの保障をして、厚生年金の報酬比例部分は清算・返金する案です。これが、ベストと思うけどなぁ。
論点整理を少し、書きます。どうも年金議論は年金問題の部分最適化に終始していて、本来、社会保障の全体最適化を考えるうえで年金問題を議論するスタンスも必要だと思うのです。百兆超え社会保障の約半分が年金な訳ですから。
日本の社会保障の構造はかなりイビツで、高齢者対象が約7割(第19表)というのは、世界各国と比較してもかなり高いはずです。その一方、現役世代のセーフティネット拡充は派遣村問題から数えても、もう十年、根本的にはなんら進展していないと思います。そこには本来、良い意味での雇用流動化や、産業構造の刷新等の成長政策側の要素もあるはずなのですが。
やはり、そろそろ真剣に二択を考えるべきだと思うのです。それは現在の社会保障制度をそのままに、現役世代他施策をプラスして社会保障を大規模に拡大するのか。それとも、総枠をある程度、現状維持で仕組みを大幅に組み替えるのか。
世界最高の高齢者率を突っ走る日本国で、前者は果たして可能なのか。そのように考えた時、経済同友会案は示唆に富んでいると思うのですが、いかがでしょうか。
「社会保障・真の全世代型」議論も結構なのですが、やはり上記・二択を避けていると、また、お題目だけで十年経ってしまう気がするのです。
—
榎本 洋(えのもと ひろし)
フリーター。書籍編集や広告制作等。