こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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「5ch生き物苦手板を閉鎖せよ」の呼びかけに、4万筆以上(2019/07/31 06:00時点)もの署名が集まっている事が話題になっています。生き物苦手板を閉鎖することで、虐待映像の拡散やアカウントの作成の根本を断とうという狙いによるものです。しかし、私はこの善意から来る取り組みに対して、その心意気はよく理解できるのですが解決には結びつかないと感じます。
Twitterでも同じようなことをつぶやいてしまいました。
生き物苦手板閉鎖問題。
臭いものにふた、では無理だろう。RTの画像通り、すでに移住先の検討が始まっている。
板を閉鎖してもそこにいた人たちがいなくなるわけじゃない。結局、反対する人の拳の振り下ろし先が欲しいだけで、根本的なアプローチになっていない。 https://t.co/tz22YBtTZm
— 黒坂 岳央社長@起業家・作家・講演家・投資家 (@takeokurosaka) July 28, 2019
5chの生き物苦手板とは?
そもそも、生き物苦手板とは何でしょうか?正式名称は「生き物苦手@2ch掲示板」となっており、元々の名称は「動物愛護論、ペット大嫌い板」でした。現在は「生き物苦手板」になり、動物やペットが苦手な人、マナーの悪い飼い主について語る板として機能しています。動物が苦手、という話題に留まる事がある一方で、動物を虐待する動画の投稿がなされることがあり、動物愛護法違反で逮捕者が出ることもあります。
この掲示板の存在を世に知らしめたのは、2002年にディルレヴァンガーと名乗る人物が、猫の虐待写真をインターネット上で公開したことに始まります。事件の詳細は今回の記事で語ることは控えますが、犯人が九州大学を経て、光学機器メーカーに務めるなど堅実なキャリアの持ち主だったこともあって、このような事件を起こした事との大きなギャップもあり、当時は大きな話題になりました。
私はこの「ディルレヴァンガー事件」を機に同板の存在を知りました。
生き物苦手板は必要悪で隔離場所か?
この板は動物が苦手であるというコミュニケーションに留まらず、承認欲求やコミュニケーション目的から動物を虐待する人物が現れる事があるなど、動物愛護観点の問題を抱えています。
それ故に、「閉鎖しよう!」という声があがり、数多くの署名が集まっている状況を作っています。愛くるしい動物の虐待公開の場を閉鎖したい、というのは一般的な感覚を持つ多くの人の気持ちであることはよく理解できます。しかし、この生き物苦手板自体が必要悪で、隔離場所として機能していて、「潰してはならない」と指摘する人もいます。
生き物苦手板というコミュニティがなくなっても、そこにいた人たちが消えてしまうわけではありません。「臭いものに蓋をする」という取り組みでは、第二、第三の生き物苦手板が登場する、もしくはコミュニティの場所が拡散、もしくは深層化する危険性があると言う人もいます。
エコーチェンバー現象を考慮しても潰さない方が良い
板を潰すか?残すべきか?エコーチェンバー現象を考慮しても、私は個人的には「板は潰さない」方がトータルで見て問題は大きくならないと考えます。
エコーチェンバー現象とは、自分と同じ意見を持った人とのコミュニケーションを繰り返すことで、自身の意見が強化される事を言います。同じ価値観の集まる場に身を置くと、自分の意見は知らずに強化されていくのです。生き物苦手板には、動物に対する同じ感覚の人が集まるわけですから、エコーチェンバー現象が起きる事で虐待を肯定し、思考を強化させている可能性があるのではないでしょうか。
しかし、同じ価値観を持つ人の集まりを止める術は、本質的に存在しないと考えます。実際、生き物苦手板の住人はすでに閉鎖された時の移り先を検討しています。
結局、人の嗜好の行き先を封じることなんてできず、他の方が指摘している通り、より深層Webへと移行してしまい、問題がアングラ化する結果になりかねません。私の意見としては板は潰さず、その代わりに行き過ぎた問題が起きた時に、即座に動ける法整備と体制を整える事が有効と思います。再販者を監視したり、厳罰化を持って抑止力とする方が良いのではないでしょうか。
黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表
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