骨というもの

先月8日SBIグループ創業20周年記念事業が終わり、やっとほっとしたところで、今度は94歳になる母親が自宅で転(こ)けて膝を骨折しました。痛みが尋常でないと思いましたが、当日は日曜日でしたから、翌朝すぐにMRIを撮って貰いました。結果として膝のお皿の部分の縦割れが明らかになったわけですが、私は「横割れだと長く掛かるなぁ、歩けなくなるかなぁ」と思っていたもので、縦割れと聞いて少し安心しました。そして直ぐその日の内に東京女子医大に入院させて、先週末骨がついて退院してきました。

此の骨というものは、人間の身体において大変重要な部分ですが、少し構わなさ過ぎるのではないかと思います。胃が痛い・頭が痛いとなれば結構痛みがありますから、我々は直ぐ医者に行ったり薬を飲んだりします。

他方、骨については折れた・肉腫が発生したといった状況下はじめて感じて行くわけで、中々普通に骨密度をチェックするということでありません(最近では人間ドックでも大分チェックする人も多くはなりましたが…)。取り分け女性の場合、閉経後カルシウムが大幅に不足して骨が弱くなり、ハチノスのように骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を患っている人が沢山います。そうしますと転けただけで(転けなくても自然骨折もあります)、運が悪ければ2度と歩けなくなり車椅子生活の中で全体的にその身体を弱くして行くことにもなるのです。

従って我々は骨を丈夫にすべく、あらゆる事柄に注意して行かねばなりませんが、先ずは基本的な知識を得ることからでないかと思います。カルシウムを取る・ビタミンDを取るといったことは、言うまでもなく大事です。あるいは、関西と東京で比較すると納豆を食べない関西の方が骨折する人が多いわけで、ナットウキナーゼを飲む・納豆を食べるといったこともあっても良いのではないでしょうか。

また、骨粗鬆症に対する様々な薬なども出ていますが、余り之に頼りますと腎臓に副作用があったりしますから気を付けねばなりません。中国では「医食同源」ということで、伝統的に医(健康維持管理)と食(食べ物)を密接に関連付けてきました。正に医食同源できちっと骨を丈夫にし、ちょっと転けた位で折れなくするよう、我々は食の上で、色々な知恵を身に付けて行く必要があろうかと思います。

最後にもう一つ、骨について序(つい)でに申し上げます。私が私淑する明治の知の巨人・安岡正篤先生は『「人物」とは?』ということで議論されており、人物であるための条件に『1.「骨力」に富んでいること』『2.「理想」や「志」を持つこと』『3.「胆識」を備えること』として、第一に骨力(こつりょく)に富んでいることを挙げておられます。

此の骨力とは平たく言えば「元気」であり、骨力から気力・活力・性命力が生み出されます。そうして骨力が気力を生み、次第に精神的に発達すると生きる上での目標・目的となる「志気」「理想」を持つようになるわけです。此の辺りの話については嘗てのブログ『人物の最も大事な徳』(18年4月27日)あるいは先月24日の講演でも触れたもので、該当スライドを添付しておきます。御興味のある方は、是非ご覧頂ければと思います。

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