Why work?-あなたは何のために働いていますか!

Photos by K.Bito

日本は超少子高齢化の道を歩んでおり、2040年には3人に1人が60歳以上になると言われている。ビジネスパーソンのキャリアプランは崩壊しつつあり将来のパスも見えにくい。私たちは、いま何を考えて何をすべきなのか。

今回は、『人生が好転するマインドブレイク: コーチングセラピーであなたもきっと幸せになれる』(合同フォレスト)を紹介したい。著者は恩多限/陽(おだぎり/よう)さん。

日本人はよく働く。その結果、働きすぎてしまう。日々、山のような仕事を与えられたり、無理難題を課せられていると、なかなか思うような成果をあげることができなくなる。そして、自分の価値を低く見積もるようになり自信を失ってしまう。会社や仕事で、自分の価値観を見出すことは簡単ではない。とはいえ、逃げることもできない。

会社にとって、成果は喜ばしいことである。だから成果をあげると評価される。社内に名前が公表されたり、賞与や昇給に結びついたり、休暇や旅行などを贈られたりすることもある。しかし、それが本当の幸せかはわからない。

会社に属しているうちに、自分の幸せが成果をあげることだけになってしまうことがある。そんな風になると、人生はとてもつまらなくなってしまう。すでに人生を楽しめなくなっているビジネスパーソンは少なくないはずである。

会社に尽くすことが仕事だと思っている人がいる。尽くして我慢をしてきたという理屈だ。しかし、このような傾向の人が報われることは少ない。日々の仕事をいつもと変わらなくこなしていると思ったら、心身ともに疲弊し、ストレスを溜め込んでいるかも知れない。

すべては、会社や仕事の命ずるままに前へ前へと進んできた結果である。全力で職務に取り組んできたのに、会社の中でのゆがみが表面化してくるのだ。ひとつ言えることは、会社はあなたを守ってはくれないということ。

会社と社員の関係を、異性関係に置き換えるとわかりやすい。片方が好意を抱いていても、相手にはそれに応える義務はまったく無い。相手が振り返ってくれないことで、悩み苦しんでも誰も助けてはくれない。本書を通じて、会社や仕事との関係、自らが置かれた状況を客観視することで見えてくるものがあるように感じている。

参考までに、アメリカの鉄鋼王、カーネギーは次のような格言を残している。

よりよい成果が得られるのは、
自分がいちばん好きな仕事をしているときだろうね。
だから、人生の目標は、自分が好きなことを選ぶべきなんだ。
出典:『人生を動かす賢者の名言』(池田書店)

[本書の評価]★★★(77点)
評価のレべリング】※標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
星無し  「レベル0!読むに値しない本」50点未満

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
※14冊目の著書『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)を出版しました。