こんにちは、 東京都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です。
東京都では、新たな長期計画の策定に向けて、「未来の東京への論点整理」が発表されました。長期計画とは、東京都の進むべき航路を示す羅針盤のようなものであり、今回の長期計画ではバックキャスティングの手法がとられるということで、これまでの延長線上には無い航路へと舵を切ろうという姿勢がみられます。
東京都では、下図にある通り、平成30年間の検証から入り、2040年代を描き、2030年代に向けて今なすべき施策の検討へと入っている段階です。
※バックキャスティング=顕在化する「変化の兆し」から将来を予測し、描いた将来像から逆算して今講ずべき施策を見出す手法
実は、この長期計画の検討に入るということが発表された直後から、無所属 東京みらいでも東京の将来像を描く議論を開始しており、Tokyo Cross Point(平たく言うなら意見交換会)や民間プレイヤーからのヒアリング、先進的な取組の視察を行ってきました。今日は、私たちの描く将来像「(仮称)東京みらいビジョン」についても、中間報告をさせていただき、ご意見を広く募りたいと思います。
① 2040年代の東京
東京の2040年代を描くとき、東京に住まう人だけでなく、東京を行き交う人々が幸せを感じる場所であってほしいと考えています。経済的豊かさだけでは、人は幸福を感じることができないのではないかという東京の在り方の根底から見直す議論を繰り返しています。
東京という都市が輝くのではなく、東京を行き交う一人ひとりが自分らしく輝き、その輝きが広がっていくイメージを共有。東京という都市の輝きが増すことと東京を行き交う人々の幸せは必ずしもイコールではないということを胸に刻みながら、今後は、2040年代の人々の幸福な暮らしを具体に想像していきます。
② 2030年代の東京を形づくる5つのキーワード
2040年代の東京を世界で一番輝く(幸せな)都市にしようと考えた時、5つのキーワードが出てきました。このキーワードに対して、同じイメージをもてるように、細かなニュアンスまで伝わる表現へとブラッシュアップを行っているところです。
✔ダイバーシティ:人生の選択肢にあふれ、人それぞれの幸せを実現する真の多様性社会
✔クリエイティブ・ハブ:ヒト・モノ・カネ・情報の集積から、新しい価値を生み出される場所
✔サステナブル:衣食住・エネルギーを消費せず、循環させる暮らしへの転換
✔ビヨンド:社会課題の解決に向けて、今ある枠組み(都や区市町村の形すらも)を越えていく仕組み
✔レジリエンス:災害は起こるものという前提に立ち、災害を受け止められるまちづくり
③ 未来をつくる子ども・若者の成長へ向けて
将来の東京をつくるのは、いまの10代であることを考えれば、学びへの投資は最重要です。子ども・若者の成長を後押しするのは、学校だけではありません。学校と地域、そしてその他の学び(興味開発のプロフェッショナル)が三位一体で取り組む必要があり、そこに家庭の経済格差などを生じさせてはならないという点で、3人の意見が一致しています。
✔公正に個別最適化された学校教育(主に能力開発)
✔社会全体で子どもを育てる家庭環境(家庭の概念を広く社会全体と捉え直す)
✔個性を伸ばし、夢を育むその他の学び(主に興味開発)
④ 2020年に講ずるべき施策
上記1~3について、何度も議論し、イメージを共有してきました。これから先は、では今何が必要なのかという議論にうつっていきます。ここで大切なのは、将来の東京を描くのは行政だけではないということです。その点から、私たち政治家については、行政と民間の橋渡し役(ファシリテーター)としての役割がより一層求められると考えています。
✔民間が得意なことは民間に任せる(規制緩和などにより、さらに活発に)
✔社会課題解決に資する民間活動がより円滑になるような連携を進める(官民連携を当たり前に)
✔民間が手を出しにくい領域について、セーフティネットをはっていく
さらに、ニュージーランドの幸福の予算化や内閣府の生活満足度に関する指標なども参考にしながら、東京都における幸せとは何か、また幸せを阻む要因とは何か議論しています。特に行政は幸せを阻む要因を取り除く役割を果たすべきと考えています。
幸せを阻む要因になり得るもの(自分ではどうにもならないもの)
✔家庭内暴力や虐待、経済格差などの家庭環境
✔こうあるべきという価値観(伝統的家族観、学歴偏重主義など)
✔さまざまな差別(障がいの有無、ジェンダー、出身地、国籍など)
⑤ 2020年に見直すべき施策
これまで紹介してきたビジョンの実現、施策の具体化には、当然ながら予算を伴います。必要だからと次から次へと予算をつけるわけにはいきません。大切なのは、その将来像とは別の方向に向かっている予算を見直すことです。ここで、大切にしたいことは、予算の執行率(予算が使われたかどうか)ではなく、事業の効果(どれだけの人に幸せをもたらしたか)に重点を置いた見直しをする必要があるということです。
現在、斉藤れいな都議を中心に、昨年と今年の全事業について洗い出す作業を行っており、この使い方はおかしいのではないかという事業をいくつか発見しています。年末に各会派から都庁に対して予算要望を行う機会があるのですが、予算の見直しと新たな政策提言をセットで行うことができるよう、取組を加速させていきます。
(参考)変化の兆し
東京都では様々な社会課題を整理していますが、それを前提にして、今ある変化の兆しをできるだけピックアップしていく事が将来像を描くにあたって重要だと思っています。突拍子もない未来でも、過去の延長線上にある現実でもない、起こり得る将来を描くことができるように日々アンテナを張っています。以下、私のきづいた変化の兆しの一部です。思考のプロセスをお伝えするという意味で、ご参考まで。
さて、いかがでしたでしょうか。無所属 東京みらいの長期ビジョンについても、年内を目途に取りまとめていく所存です。なるべく明るい将来像と実効性のある施策をお示しすることができるよう、引き続き頑張ります。なお、Tokyo Cross Pointはじめ、議論に加わり、一緒に作業してくださる方も募集しております。これからもご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。
これからの トーキョー どうする?
Tokyo Cross Point
*テーマ 学びの未来
*Guest 探究学舎 宝槻泰伸さん ミライLABO 植村英明さん
*日時 9月21日 (土) 15:00 – 17:00
*場所 LiBz HOUSE(渋谷区桜丘町13-15)
*会費 大人(2,000円)※未就学児無料、高校生・大学生(1,000円)、小学生・中学生(500円)
*申込 https://tokyo-cross-point-manabi.peatix.com/
*Tokyo Cross Pointとは*
社会変革を目指す民間プレーヤーと
これまでの延長線上にはない答えを探している政治家による
第3の選択肢をうみだしていくコミュニティです。
編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年8月25日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログをご覧ください。