安倍首相がG7の閉幕の際に9月の内閣改造に言及しました。首相としては現状、ちょうどあと2年残す中での内閣改造は第3コーナーに差し掛かり、政策と運営において最後のストレッチが見えつつある中での改造です。その点、今までとは違った意味合いがあるかもしれません。
自民党の組織を会社で例えるなら安倍首相が社長、菅官房長官が副社長総務担当、麻生副総理が副社長財務担当、二階幹事長は監査役といった具合でしょうか。党幹事長は重職ではありますが、内部での実権であり、対外的となると別なので監査役でもよい気がします。今回の内閣改造とは閣僚、つまり役員、監査役の入れ替えであります。誰かが取締役から退任し、誰かが新任になるわけです。
今の時点で聞こえてきているのは麻生副総理、菅官房長官ら主要幹部は留任で他の閣僚ポジションで大幅入れ替えを図るのではないかという点です。
入閣の期待組は小泉進次郎氏で今回の内閣改造の目玉かもしれません。自民党には衆議院当選回数5回以上、あるいは参議院当選回数3回以上の「閣僚適格候補者」がなんと70人程度もいる(産経)というのですから層の厚さが大企業的であります。こうなると自民党で当選しても大臣どころか十分な主張もできないと思い、非自民に飛び出す政治家志望の人もいないとは限りません。(もっとも非自民ですとそもそも政権が取れないといえるのですが。)
もう一方、二階幹事長が年齢的にも、そして幹事長職3年と長いこともあり、そろそろ肩たたきではないか、とみる筋もあります。
各派閥では当選回数から「次は〇〇さんを」という年功序列型の主張をするようですが、もうそんな時代でもないでしょう。西欧諸国で40代で国家元首、閣僚となっているのは選挙民の平均年齢、中心年齢からみる閣僚候補と選挙民との距離感だろうと思います。一方、アジアでは儒教的思想が残っており、年長者が上という発想ははっきり存在しています。ところが、逆に年寄りばかりの閣僚となれば若い人が政治に興味を示さないという見方はできるかと思います。
今回の内閣改造において安倍首相に着眼してもらいたいのは日本は大きな時代の転機を迎える点です。2020年のオリンピックが決定した時、私の周りでは「それまで生きているか」という第一声があちらこちらから聞こえました。ある意味、1964年の東京オリンピックから今回のオリンピックは日本が戦後の復興を遂げ、世界の中の日本として大きく成長した時であります。
2020年以降の日本には新しい夢と希望を打ち出さねばなりません。ただでさえ高齢化が進む中で現役世代が日本を背負っていくための丈夫な足腰を作らねばならず、これが内閣の顔となって表れてきます。失言したり大した仕事もできない古株ではなく、もっと若い世代が共鳴できるような内閣改造を望みます。
幸いにしてオリンピックに向けてスポーツ界では大活躍する選手が増えてきました。まさに2020年代、30年代を背負う若者たちです。そのエネルギーに乗じるというのもアリなのだろうと思います。どうせ閣僚の後ろには重鎮が居座るわけですから日本が間違った方向に進むとも思えません。
期待しましょう。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年8月29日の記事より転載させていただきました。