国論二分!? 小泉氏の「育休」にヤフコメ、SNSで大激論

アゴラ編集部

8月に結婚と第一子の妊娠を発表した自民党の小泉進次郎議員(神奈川11区)が、出産予定の年明けに育休取得を検討していることを明らかにしたことを巡り、先週末は、ネット上で激しい議論が展開された。

2018年1月、保育園を題材にした映画上映会で赤ちゃんをあやす小泉氏(公式Facebookより

小泉氏の「育休」発言は、31日に行われた地元の横須賀市での国政報告会終了後、報道陣の取材に応じた際に出た。毎日新聞によると、小泉氏は

率直に考えている。ただ、世の中でお勤めしている方と議員ではベストのあり方、理解が得られる形もきっと変わる。何が良い形なのか、周りの人たちに聞いている

と述べたという。小泉氏の子育てを巡っては、リベラル系の論客らを中心に、妻・滝川クリステルさんの妊娠発表の段階から育休取得を要望する声が上がっていたが、本人から言及があったのは初めて。政界のみならず社会的な注目度の高さを反映してから、ネット上も激しい議論が起きた。

上述の毎日新聞記事を配信したYahoo!ニュースのコメント欄(ヤフコメ)では、週末の2日間で6333(9月1日23時時点)の書き込みがあった。読者の共感が多かった順に見ていくと、上位3つは

勤め人が育休を取得する時は、誰かに仕事を引き継いで、業務が停滞しないようにする。国会議員だと、誰に引き継ぐのか?

議員が休むことで選出区の地元住人が不利益を被る可能性があるので普通の会社員と同列に扱うのは難しい問題

好きにすれば良いと思う。でも、入閣はしないでほしい。

などといずれも否定的にとらえた。これらについで共感数が多かったコメントでも

育児休業すると一般企業では給与は無給となり育児休業休業給付金の申請をすると67%となり6ヶ月経過後は50%となります。更に上限もあります。

国会議員の場合は給与に当たる歳費は休んでも100%支払われる。もし育児休業をするなら50%よりも更に少ない金額になるよう歳費の一部を返上すべきではないか。また選挙により選ばれた代表である事を忘れてはならない。

などと、会社員などとの待遇差について数字をあげながら厳しく指摘する声もあった。

また、NewsPicksでは、元日経新聞記者のジャーナリスト、中野円佳氏が「職務上はニュージーランドでは首相が取っていますから取れないことないでしょう」と述べるなど、プロピッカーの多くは小泉氏の育休取得に賛成する意見を示したが、「小泉さんが育休を取ろうが、取らまいが、それが個人と日本社会にとって、関係あるのでしょうか?個人の判断と、周囲の状況が全てであり、他が口を出すことではない」(デンソーの鈴木万治氏)といった冷めた意見もあった。

しかし、一般ピッカーの一定割合が

国会議員はサラリーマンではありません。会社経営者が育児休業云々で仕事を休めば会社は傾きます。

などと小泉氏に批判的。また、元プロピッカーで、アゴラでもおなじみの弁護士、荘司雅彦氏は「国会議員には、ノブレス・オブリージュ(高貴なる義務)があります。広く国民の男性が育休を取得できるよう国民を最優先にし、自身は最後に回るべきだと思います」と、現行制度下の取得には反対する意思を示した。

他にアゴラ執筆陣では、小泉氏の育休取得を早くから提言していた駒崎弘樹氏は「厚労省イクメンプロジェクト座長として、大応援します!」と前のめり。


また、常見陽平氏は以前のエントリーで、「小泉進次郎と滝川クリステルは令和の育児のフロントランナーたれ」と呼びかけ、小泉夫婦に育休だけでなく「日々、どのように育児・家事に参加するのか、身をもって実践してほしい」と日常レベルでの育児参加を要求している。

賛成派は知名度のある小泉氏の育休取得が新しいロールモデルとして社会に与える効果を期待しているようだ。永江一石氏は「①日本中の企業、公務員で育休が当たり前になる。意識が変わる。 ② リモートワークが一気に進む。身体障害者の政治参加もリモートでできるようになるかも」と指摘。

自らも近年、子育てをしてきた参議院議員の音喜多駿氏もこの週末は、ツイッターで積極的に言及。「「公人たるもの、24時間365日はたらくべし!」という理想はわかるし、心持ちとしてはそう頑張るべきだと思うけど、それを物理的に実践すれば子育ては配偶者に丸投げすることになるんだけどな。それが「理想」で良いのかどうか、立ち止まって考えるべき時に来ているのではないでしょうか」と述べ、時代の転換点にあるとの見方を示した。


一方、反対派は、渡瀬裕哉氏のように「税金で生活が保証されている自営業が何を言っているんだと思う」といった考えが多いようだ。渡瀬氏は「国会議員は仕事ではなく身分。議員報酬も仕事の対価ではなく身分に支払われている。身分を停止するなら辞職するのが筋であり、普通の人が仕事の育休を取ることと何も関係ない」と、賛成論を手厳しく批判。


さらに「より正確にいうと、身分は休むことはできないので、身分を休むなら辞職することが妥当。国会議員が家業になっているから、国会議員と政治家の区別がつかないくらい混同している証拠」などと世襲政治家に批判的な独自の見解を示した。

小泉氏自身は、実際に育休を取得するのかまだ結論は出していないが、9月10日に予定される内閣改造で、初入閣した場合は、大臣の仕事との両立問題も浮上するため、一部では入閣見送りの可能性も取りざたされている。いずれにせよ、今後も政界や世論の反応も見極めながら、小泉氏がどのような結論を下すのか、注目されそうだ。