77人の犠牲者を出した2014年の「8・20広島土砂災害」の犠牲者を追悼する「鎮魂のキャンドルナイト2019」が8月31日、広島市安佐南区祇園の熊岡神社などで行われました。近隣の広島経済大学の学生たちが主体となり、多くの地域住民の皆様方が犠牲者の御霊に哀悼の意を捧げました。
同災害では、広島市安佐南区、安佐北区が被災しました。特に、安佐南区の緑井、八木両地区では被害が甚大でした。今もなお、山肌の一部はブルーシートで覆われ、砂防ダムや道路の整備が行われています。
一方、同じ安佐南区においても、緑井、八木地区から南西約6キロに位置する祇園・山本地区では、2人の子どもの兄弟が犠牲となりました。「祇園地区でも追悼の意を捧げる場所を」という地域住民の願いと、ボランティア活動にあたっていた広島経済大学の学生たちの思いが結び付き、地域住民が学生たちをサポートすることで、2015年から「鎮魂のキャンドルナイト」が開催されています。
私は今回、地元祇園地区選出の広島市議会議員として、さらに、地元住民として、微力ながら協力させていただきました。災害はいつ何時、降りかかってくるか分かりません。とかく地域の結びつきが薄れている昨今、一層、地域での自助努力が必要になっていると思います。市議会議員として地域住民の命を守るため、「防災・減災」に率先して汗をかいていかなければ、と誓いを新たにいたしました。
「防災・減災」に対して、ソフト面では地域コミュニティーの強化は喫緊の課題だと思います。都市化に伴う住民同士の結びつきの低下は、緊急時の互助力を弱めてしまうからです。流入してきた住民をコミュニティーに取り込む仕組みの再構築が不可欠となります。
一方、ハード面では、まさに、インフラ整備の促進が不可欠となります。特に、道路網の整備は社会的使命です。祇園地区をはじめ、その周辺は、大規模な宅地化により、道路網の整備が人口増加の速度に追い付かず、慢性的な渋滞が課題となっています。このことは、広島市に限らず、全国の新興都市で起きている現象だと思います。
とかく、道路整備を含めたインフラ整備に対し、「利権」「談合」「族議員」などとネガティブなイメージで語られることあります。しかし、これは間違いだと断言できます。
確かに、一部ではそういう見方をする風潮があるかもしれませんが、インフラ整備の効用・意義を無視した指摘だと思います。社会基盤を疎かにすれば、必ず国力がそがれてしまいます。そうならないためにも、私はインフラ整備を強調しているのです。
道路整備は資金面などから簡単に解決できるものではありません。しかし、新たな犠牲者を出さないためには、どんなに小さな一歩でも常に前に進んでいかなければなりません。後の世代にツケを残してはならないのです。
むくぎ(椋木)太一 広島市議会議員(安佐南区、自由民主党)
1975年、広島市生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務などを経て2006年、読売新聞西部本社に入社。運動部記者時代はソフトバンクホークスを担当し、社会部では福岡市政などを取材した。2018年8月に退職し、2019年4月の広島市議選(安佐南区)で初当選。公式サイト。ツイッター@mukugi_taichi1