昨日9月6日に「依存症の正しい報道を求めるネットワーク」主催「第2回 依存症報道グッド・プレス賞2018」授賞式を開催いたしました。
いやぁ、もうめちゃ楽しい会となって盛り上がり、メディアの皆様方と意見交換などができました。
今年の、受賞者の皆さまはこちら!
<新聞部門>
○読売新聞 「依存症を支える(全5回)」/「依存症と家族(全3回)」/ その他記事14回
<ラジオ部門>
○NHK〔関西発ラジオ深夜便〕
「がんとアルコール依存症を乗り越えて」/「若者よ!一気飲み・アルハラで命を落とさないで」
<テレビ部門>
○フジテレビ〔ノンストップ!〕
「元うたのお兄さんが胸中告白 薬物依存克服のためライブ開催」
「ダンプ松本衝撃の過去 30年以上・・・パチンコ依存の過去」
○TBSテレビ〔爆報!THE フライデー〕
「巨額使いこみ事件~井川意高氏特集」
「爆笑問題結成30周年企画!同期芸人の春一番の壮絶な死の裏側!」
○日本テレビ〔ザ!世界仰天ニュース〕
「マジか…衝撃&感動 有名人の密かな苦しみ2時間SP」
・脳に異変…アルコール依存症の真実(ZIGGY 森重樹一氏特集)」
・何故やめられない?パチンコ依存の真実!(ダンプ松本氏特集)」
○関西テレビ〔ドラマ 健康で文化的な最低限度の生活〕
「第8話:アルコール依存症に侵された利用者」
<デジタルメディア>
○ハフポスト日本版
「TOKIO・山口達也メンバーも入院 アルコール問題と依存症、苦しんだらどうする?」
「アルコール依存症の実態とは? TOKIO山口達也の飲酒めぐって注目。専門家『まずスクリーニングテストを』」
○朝日新聞出版 AERA dot.〔連載 言わせてもらいますけどね〕
「山口達也の“酒”問題 カンニング竹山も向き合った『アルコール依存症の治療で一番難しい事』」
そして第二部では、「薬物問題でバッシングにあった有名人 ~渦中から復帰までを語る~」と題して、
杉田 あきひろ氏(元NHKうたのお兄さん)
高知 東生氏 (俳優)
塚本 堅一氏 (元NHKアナウンサー)
にご登壇頂き、松本俊彦先生と、私がファシリテーターをつとめ座談会を行いました。
この座談会が有り得ないほど爆笑の連座で、「こんな座談会見たことない!」というものになりました。
そもそもですよ、違法薬物問題で捕まった有名人が3人揃ってその経験を語る!なんてことが、これまであったでしょうか?
出だしから「みんな2016年に捕まりました~」とか「全員湾岸署に拘留されました」とか、「雑居房だったの?いいなぁ~、独居房だったからさみしくてさ~」なんて会話から始まったのです。
違法薬物問題で逮捕されたらですよ、殆どの場合「涙の謝罪」とか「深々と頭を下げ・・・」なんて暗いシーンしか一般の人は目にしない訳じゃないですか。
もちろん逮捕時にニコニコ笑う人もいないでしょうし、のちの裁判を考えたら神妙にしないといけないのもわかりますよ。
でも、マスコミの皆さんもこの「逮捕時までしか扱ってくれない」というのも問題だと思うんですね。
逮捕された後も、その人の人生は続く訳だし、家族も生きていかなきゃならない。
そこをどう乗り越え、依存症から回復していくのか?
社会への啓発のために肝心なのは、回復していく方法も伝えて貰うことだと思うんですね。
で、今回「グッドプレス賞」を受賞されたメディアの皆さまは、何が良かったかというと、「依存症となった背景」もしくは「依存症からの回復の道」を示してくれたことなんですね。
そして座談会では「メディアに叩かれすぎると何が起こるか?」ということと、「でもそこからどうやって抜けだしていったのか?」という経験をオープンにし、さらに「有名人事件が及ぼす我々一般人の依存症者への悪影響」、そして「望ましい依存症報道の在り方」「当事者、家族、支援者にできること」などを、全編笑いながら、3名の有名人の方々に経験を分かち合って頂いたんですね。
皆さん「外に出るのが怖かった」と語り、高知さんは1年間全く外に出られず、塚本さんはうつ病になったそうです。
ところがこのお二人は、実は最初に私につながり、私がどんどんメディア等にひっぱりだしたので、高知さんなどはそのせいで「めまい症になった」と、笑いをとっています。
いや、高知さんがめまい症になって通院したのは事実ですけど、それ別に私からのストレスではないですから~(と信じたい)。
時々、高知さんらがTVに出てくると「芸能界に未練があるのか!?」なんて、心ないバッシングを言う人がいますけど、いやいやご本人たちは別にメディアに出たがってなんかいないですね。
むしろ嫌がってます(笑)
でも、「有名人の発信は我々より数十倍の威力がある!だから我々当事者・家族のために発信して欲しい」と、こっち側からお願いしているだけですよね。
そして再び表舞台で輝く姿を見せて!と願っているのも我々です。
だから理解あるメディアの方々に、今度は「回復の過程」を描いて欲しいんですよね。
でも昨日の座談会は何が良かったって、みんなが「笑っていたこと」、その姿をメディアの皆様に見て貰えたことです。
座談会でも出てきたんですけど、メディアに依存症ネタででるとよく、「笑わないで下さい」って注文が付けられるんですよね。
つまり「依存症者=暗い」「依存症者=ネガティブ」「依存症者=みじめ」という世間のイメージを壊さないで欲しいんですよね。
でも回復者っていうのは、全く違うんですよ。
笑っているし、人生を楽しんでいるし、仲間意識や共感があって、何よりもあったかい居場所ができるんです。
今、苦しんでいる人にとったら、回復者が明るく楽しそうだからこそ、「あっちに行ってみよう!」と思える訳で、暗く、みじめで、辛そうだったら、「止めよう」なんて思えないですよね。
堂々と真実の姿を見せ、それを報じて貰う!
メディアの皆さんにはそんな連携を是非ともお願いできたらなと思います。
2019年も、グッドプレスいくつか出ています。
これからも良い報道が増えますように!
田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト