2015年9月3日、中国の軍事パレードに朴槿恵大韓民国大統領(当時)が参加した。「日中戦争での勝利70年を記念して」中国共産党が開催したパレードである。
中華人民共和国は日本の敗戦から4年後の1949年10月1日に誕生したが「存在していない国がどうやって日本に勝利したのか」は興味深い。しかしそれ以上に、支那事変当時大韓民国は存在しないどころか朝鮮は日本と一緒に中国の地で戦いともに敗戦した同胞であったのに、どういった趣旨で軍事パレードに参加したのだろうか。
2015年当時、パレードの様子がメディアで伝えられても、不勉強だった筆者に朴大統領の気持ちはわからなかった。しかし歴史ロンダリングの具体的な手法を知った今なら一定の理解は可能になった。
つまり、彼女たちの脳内では、自分たちは抗日戦争の「戦勝国」の一員なのである。今は韓国だけの認識だが、ストーリーと後付けの証拠を創作し100年くらい言い続ければ、疲れ果てた諸国がきっと承認してくれるだろう。国民にも歴史教育で固く心に刻み続けることで力強く推進してくれるだろう。
5つの歴史ロンダリング技法
慰安婦や戦時労働者問題などの各テーマは、いくつかの歴史ロンダリング技法を組み合わせで情緒豊かに発展して行く。もはや韓国(というより朝鮮民族)の特技と言える歴史ロンダリングだが、分析すると次の5つの技法がある。(暫定。なお、以下の「~法」とは“law”ではなく“method”である。)
技法1 :「創作資料固定法」
なかったことをあったことにする。
例)「三国遺事」による「檀君王倹神話」の固定、吉田清治の詐話や元慰安婦の偽証に基づく「日本軍による強制連行」の固定等
技法2:「不都合な事実の漂白法」
あったことをなかったことにする。
例)日韓基本条約(1965年)の不記載、日本統治時代の近代化、残虐無慈悲な一部朝鮮人の実態を暴く本「竹林はるか遠く」の焚書等
技法3:「遡及話法」
今の価値観で歴史を塗り替え、又は善悪の評価を加えた改変を施す。
例)「安重根義士が伊藤博文を処断」、「日韓併合不法論」等
技法4:「マイ国家宣言法」
他国の事情や認定の有無とは独立して、自分が宣言すれば国家であり、国事行為となる。
例)臨時政府樹立宣言、臨時政府の対日宣戦布告、「戦勝国」等
技法5:「無限自己暗示による虚記憶固定法」
繰り返し語りかけ、または聞かされるうちに、それが事実だったような気がしてくる。
例)元慰安婦の証言「12歳で慰安婦にされた」「1938年に捕まり、愛国奉仕隊に志願したらジャカルタに慰安婦として送られた」等
補足:「マイ国家」とは
1976年に出版された『マイ国家』は星新一氏による短編集で、“ある日マイホームを「マイ国家」と宣言することから始まる滑稽な騒動”を描いた「ショートショート」と呼ばれる短い話である。
真実の歴史
池田信夫所長による、韓国に関する真実がJBpressに掲載されていた。
李承晩は「韓国は抗日戦争で勝利した」という神話をつくり、学校で教え込んだ。1952年のサンフランシスコ条約にも「戦勝国」として参加を求めたが、アメリカに拒否された。日本に対しても戦勝国として賠償を求めたため、国交正常化は難航して1965年までかかった。
この記事を拝読し「韓国は『戦勝国』か」というテーマが脳内で起動してしまったので、今回はこのテーマについて具体的に検証したい。
韓国が脳内で「戦勝国」に変換されるロジック
韓国の後ろ暗い「出生の秘密」とは1919年の「臨時政府樹立宣言」や1941年の「対日宣戦布告」はまさに技法4の「マイ国家宣言法」による一方的宣言に過ぎないという事実である。そのために、彼らは「大韓民国臨時政府を受け継ぎ」とは決して言わない。「大韓民国臨時政府の法統を受け継ぎ」と必ず言う。実体がないために臨時政府は国際的には全く認定されていなかったのだ。
そのためそもそも受け継ぐべき国が無かったので、その精神的遺産である「臨時政府」が制定したという「憲法」という法を受け継ぐということで「臨時政府の法統を受け継ぐ」と表現しているのである。
「マイ国家宣言法」による歴史ロンダリングはこれだけではない。
「パリ講和会議に金奎植を民族代表として派遣した」
「1919年留学生が東京に集まって、(2.8)独立宣言書と決議文を朗読した後、各国大使館、日本政府や国会などにこれを送った」
「1919年3月1日、泰和館という料理屋に集まった孫ビョン煕…ら民族代表33人は独立宣言式を行い」
(世界の教科書シリーズ24韓国近現代の歴史、明石書店P160-161より抜粋)
「大韓民國臨時政府對日宣戦聲明書 大韓民国二十三年十二月十日(1941)」(前掲書P192資料2)
いずれもなんら正統な手続きも踏まずに勝手にそれぞれが代表を名乗り、自分達以外には認められていない一方的な宣言をしたに過ぎないのである。そもそも実際にそれらがあったかどうかも検証なしには信用できない。これらを根拠として爾後激しい対日戦争を繰り広げる「韓国臨時政府」の実体はあったことになった。(あくまでも彼らの中だけで。)
さらに、
「光復軍が中国の抗日戦線で敵に対する心理戦をくり広げて大きな成果を収めていることを知ったイギリス軍は、臨時政府と韓英軍事協定を結び、日本語に長けた光復軍に支援されて、彼らをミャンマー奪還作戦に投入した(1943)」(前掲書P192資料3)
このように「脳内」で「正規軍である光復軍」による激しい戦闘を思い描いているが、実態は「日本語が使えたのでビラ制作などの諜報活動を手伝わされていた」というあたりだろうと推測される。また、韓英軍事協定は完全な創作か誇張にすぎないだろう。
また、1952年発効のサンフランシスコ条約における「戦勝国」認定を要求し却下されたことなどは、不都合な事実として彼らの記憶と記録から消去されているようだ。少なくとも歴史教科書上では確認できなかった。これは、技法2の「不都合な事実の漂白法」の事例である。不都合な事実なので、あったこと=「戦勝国ではないという認定」をなかったことにしている。
(確認教科書:『世界の教科書シリーズ24 韓国近現代の歴史』及び『世界の教科書シリーズ1 韓国の歴史 国定韓国高等学校歴史教科書』ともに明石書店)
まとめ
以上検証したのは、実際に使用されていた韓国の教科書に記載されている文章であるが、池田所長の記述の通りである。ただし和訳されたものなので、翻訳による真意との差異が発生している可能性には留意が必要である。
自分達の政治的イデオロギーに合わせて歪曲した歴史を注入するのが、韓国の歴史「教育」である。「反日戦士の大量生産」がなされている実態を我々日本人の多くは知らない。日韓問題をいつか克服するためには、まずは相手である韓国について、想定の範囲外にある実態を知ることから始めなくてはならない。そこで、「慰安婦」や「植民地支配」など、歪曲された「歴史」と反日「教育」の数々を、今後も検証して報告して行きたい。
この教育で国家が永続するとは到底思えない。怨念を抱かせる「教育」は、もはや韓国の子供たちへの虐待ではないか。
田村 和広 算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰
1968年生まれ。1992年東京大学卒。証券会社勤務の後、上場企業広報部長、CFOを経て独立。