昨日から話題になっている記事があります。「ロンブー田村淳さん、慶應大学院生になっていた。理由は『死者との対話』を学ぶため」。ハフポスからヤフーニュースに転載されトピックスのトップにもなったのでご覧になった方も多いと思います。
記事自体はきっちりと構成されています。ロンドンブーツ1号2号の田村淳(以下、淳さん)さんが4月から、慶應義塾大学大学院のメディアデザイン研究科(KMD)で大学院生になっていたこと。
本人が9月5日、Twitterで明らかにしたこと。なぜ、大学院へ進学したのか、何を学び、何を実現しようとしているかについて取材記事としてまとめています。
記事では、淳さんが「大学」と向き合うようになったのは2017年のことだとしています。青山学院大学法学部を目指して、センター試験に向けて勉強する様子はAbemaTVの番組企画としても放送されます。しかし、残念ながら結果は全て不合格でした。
その後、2018年4月から慶應義塾大学通信課程の学生として大学生活をスタートさせます。しかし、通信過程がマッチしなかった淳さんは、「何か他の学び方がないか」と考え始めました。その一つが大学院という選択肢でした。2019年4月に大学院に入り直し、4月から週5日、大学院に通学する生活を続けているようです。
研究内容は「死者との対話」とあります。これを実現するには、法律、医療、倫理などについて学ぶ必要性がありました。そのために、KMDに入学したとあります。
「『延命治療はやめてね』とか、「こんな弔われ方をしたい」など、元気なうちに家族に対して、自分の死に方にまつわるメッセージを残せたらいいのに。働き方や生き方には多様性が増えてきたのに、なぜ“死に方”の多様性は広がらないのか。そんな思いから、ずっと作りたいと思ってきたサービスです」(原文ママ)
自分自身がやりたいことを実現するために学ぶという行動。個人的には素晴らしいことではないかと思います。KMDを修了すればキャリアは確実にアップします。社会からは努力や原動力となった向上心が評価されるでしょう。充実したキャリアを送ることは長い人生を過ごすうえでとても重要だと思われます。
ところが、ヤフコメが炎上します。その多くは淳さんの行動を肯定するものではありませんでした。相変わらずヤフコメはストレス発散場所になっています。批判している人の多くは、KMDに入学した淳さんに嫉妬をしているだけでしょう。しかし、正規の手続きを経て現在にいたっています。批判される筋合いなどまったくありません。
入学した学生はすべて同じ扱いを受けます。能力が伴っていない人は修了できません。思っているほど楽ではないはずです。大学院に行くには、入るための「能力」「お金」「時間」が必要とされます。また、芸能の仕事はわかりにくいので、芸能活動のどういった部分が評価されたのかという点にもフォーカスして欲しいと思います。
意欲のある人が学ぶための環境が整いつつあります。このようなケースが増えてくることは歓迎すべきです。さまざまな意見があることは理解しますが、社会的に意義のあるテーマなので、淳さんの立場や影響を踏まえたうえでの次回記事を期待しています。なお、個人的に、淳さんは好きな芸人さんなのでエールを送ります。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
※14冊目の著書『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)を出版しました。