今週に行われる内閣改造で小泉進次郎氏の扱いが話題になっているが、もし、私が安倍首相ならどう使うかという観点から論じたい。したがって、これは予想ではなくこうあるべきだという話であることを断っておきたい。
まず、進次郎氏は安倍首相に土下座しても閣僚ポストをもらうべきだし、安倍首相は閣僚ないしそれに準じるポストを与えるべきだ。しかし、それは官房副長官とか官房長官であってはならない。
なぜなら、安倍首相が第1次内閣で力を出し切れなかったのは、官房長官しか閣僚経験がなかったからだ。だいたい、民間企業でも社長室長や秘書課長しか重要役職していない人が社長なんぞにならない。
社長室長や秘書課長は横で社長のすることを見ているが、自分では決断する必要がない。だから、経験にならないのである。
また、自分で大きな組織の人事なども経験すべきだ。それには、やはり大きな省庁の大臣でなくてはならない。野田佳彦氏のようにガスの検針員くらいしか職業経験がないのが首相をやって惨めだったことも、安倍首相の第1次内閣での人事に首をかしげることがおおかったのもそのせいだ。とくに、進次郎はサラリーマン経験がないからなおさらだ。
そういう意味では、今回かどうかはともかく、「省」を丸ごと任される大臣を是非経験し、細かく人事に関わった方が良い。その点、安倍首相は少なくとも神戸製鋼所でのサラリーマン経験があった。
それでは、具体的にどんなポストがいいかといえば、私なら文部科学大臣はどうかと思う。前川喜平氏を見ても日本の文部科学省は本当に主体性がない組織だ。さまざまな分野の組織やボスたちの意向を国政に反映することをもって使命だと勘違いしている。
日教組と戦う先頭に立っていると勘違いをしている国民が多かったが、実は日教組と同じ方向を向いて政権と戦っていたことが明らかになったし、朝鮮総連とすらつるんでいたのである。学会ボスたちの蛸壺論理と戦っているのでなく、小さな岩盤規制の既得権益を守ることが仕事だと心得ているのである。
その体質を変えるのには、いちど、小賢しくなく明るく問題提起と改革を訴える大臣が出た方がいい。子供たちや若い人の支持も不可欠だ。そこに、練達のワルを副大臣に据えればいい。
農水省とか厚生労働省については、方向性は明らかで、いかに実行するかだ。もちろん、そういうポストもいいが、彼の力が前向きに発揮できるかはやや疑問だ。
子どもも生まれるので、少子化担当大臣にしたらという声もある。しかし、待機児童を解消しましょうなどというなら誰でもいえる。ぜひ、「離婚によって片方の親と縁が切れるのは理不尽だと身を以て言い切れる。これを正すのが少子化を克服する最大の方策だ」といったらいい。そこを曖昧にするなら止めとけといいたい。
「私もできちゃった婚です。決して悪いことでありません」というのもいいのでないか。これから出生率を増やすためには、できちゃった婚、さらには、子連れ婚できちゃった婚とかも増やさないと数字は出ていかないかと思う。
進次郎氏の人気を生かすとしたら、ちゃらちゃらした方向でなく、日本人の甘ったれを是正することに使って欲しい。
それから、もうひとつ提案すると、外務副大臣とか、ほかの大臣と兼任で第二外務大臣というのもありではないか。進次郎氏は英語もかなりうまい。国会に縛り付けられて外遊が十分にできてない外務大臣と分担して世界をまわるといい。それは、将来の宰相候補としての成長に間違いなく役立つだろう。
外相には茂木敏光氏が噂され、ネゴシエーターとしての能力の高さを考えれば適任だろうが、その一方で、日本のイメージアップという仕事なら進次郎氏はまことに仕える存在だからだ。
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授