小泉環境相は小泉元首相と石破を意識しての人事だ

八幡 和郎

安倍内閣の改造人事がだいたい明らかになってきたが、なかなか見事なものだ。

小泉進次郎氏については、これは、一つには、父親の小泉純一郎元首相が喜ぶかどうかを重視したのではないか。小泉元首相としては、いかにも息子が安倍首相に取り込まれたという印象があるようなポストは嫌だろう。たとえば、内閣副官房長官とか社会福祉系のように安倍内閣の閣僚として責任が生じるようなものがそうだ。

ところが、環境相の仕事は安倍内閣の目玉政策はないから、首相としても小泉氏が伸び伸びとやってくれたらいい分野だ。それはまた、父親にとっては、重要ポストで経験も積めて安倍首相に取り込まれた感が少なければ満足だろう。

それから、環境相は国際会議などでの仕事が多いから国際経験を積めるという意味でも好都合だ。

この人事のもうひとつの意味は、石破派からの登用をゼロにすることに対する埋め合わせだ。石破派は19人になって、もはや閣僚ポストをあてがう必要もないのだが、かといって、あれだけの党員票を集めた勢力に配慮しないわけにもいかない。

そこで、自分は石破に投票したといっている小泉氏を登用し、石破派はいないが、石破支持勢力には配慮したという形にしたということだ。なかなかよく考えたと思う。

ほかの人事では、河野外相の対外こわもて路線は無用な摩擦を生じてきたし、世耕経産相のやることは分かりにくい。かといってこれを更迭したら韓国に対する間違ったシグナルになる。だとすれば、交代させて、かつ処遇するのはいいことだ。とくに河野防衛相は韓国を睨めば理想的だ。

あと目立つのは、「改憲」シフトだろう。高市早苗総務相、萩生田文科相、衛藤晟一氏の入閣、そして稲田朋美幹事長代理といった布陣はそういうことでないか。

八幡 和郎
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授