安倍政権の一員、大幅増でラストスパート

本日、第5次安倍内閣が発足し、閣僚が発表されました。7月の参議院議員選挙の結果を受けてのことでもあり、来年開催される東京オリンピック・パラリンピック、さらには安倍総理の自民党総裁任期中(総裁任期は令和3年9月まで)の憲法改正などを見越した閣僚になるでしょう。

多くのメディアは「骨格を変えずに大幅改造」と報道していますが、骨格とは麻生太郎副総理兼財務大臣、そして菅義偉官房長官の2人です。この2人を除く17閣僚が交代する見込みです。

「世界が激動期」ということはこれまでに幾度となくお伝えしてきました。ですから外務大臣はとても重要です。これまでの河野太郎外務大臣はよくやっているじゃないかという評価もありますが、今回は茂木敏充経済再生相に交代するようです。茂木氏は内閣府の特命担当大臣で、特に厳しい日米貿易交渉を重ね、大筋合意に導いた功績が買われたのではないでしょうか。

茂木氏は頭の回転が速く、外交においては手強い交渉相手(タフネゴシエイター)だと思います。国際情勢が厳しければ日米関係をきちっとしなければいけない。しかし、その日米関係の相手はトランプ大統領です。本当に切った張ったのいろんな交渉が求められます。それ以外にも、日中、日韓、日露のいずれも問題を抱えているわけですから、外務大臣としては丁々発止で日本の国益を求めていく人が必要になるということでしょう。

では外務大臣を務めた河野太郎氏は、防衛大臣に就任のもようです。日韓GSOMIAが破棄された後の防衛体制は、これも日米同盟がより重要になってくるでしょう。また、最近では「2プラス2(2カ国の外交担当大臣と防衛担当閣僚の4人で安全保障や防衛政策について話し合う枠組)」があります。その意味でも、外務大臣を務めた河野氏は適任ということでもあります。

初入閣が決まった方々には、衛藤晟一首相補佐官や西村康稔官房副長など、これまで安倍総理の側にいて、総理のことをわかっている極めて親しい人達もいらっしゃいます。

大臣が変われば、その下の副大臣、政務官も変わります。これら大臣・副大臣・政務官が国会議員が務める主な政府の役職です。役職といえば他にも国会内の役職や民党内の役職があります。

国会の役職は(衆議院/参議院)議長・副議長・常任委員長(17委員会)・特別委員長(9委員会)・理事などで、自民党内の役職といえば、自民党四役(幹事長・総務会長・政調会長・選対委員長)や代理・副委員長など多数の役職があります。

これら政府・国会・自民党の役職を入れ替えることで政権運営に活力を求めるということですが、私が注目するのは、これで安倍政権の一員であるという国会議員が大幅に増えるということです。

今回の大幅改造で先ほど述べた、政府の役職経験者が一気に増えることから、大多数の人が安倍内閣の一員を経験します。そして任期の残りあと2年。憲法改正に向けて挙党体制を築くラストスパートになりそうです。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年9月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。