あいちトリエンナーレ:捏造された国際問題が芸術だと(怒)

あいちトリエンナーレ事務局(大村秀章愛知県知事が会長)が主催する「国際芸術祭あいちトリエンナーレ2019」に文化庁の「文化資源活用推進事業」からの補助金を全額(7800万円)不交付と発表したことで論争が巻き起こっています。補助金の交付・不交付の前に、そもそもの論点と言えば「表現の自由」と「公共の福祉」です。

これら憲法シリーズでも憲法シリーズで以前とりあげましたが、憲法第21条「表現の自由」です。
「時の権力に対する批判」など、自由にできなければ民主主義は成り立ちませんから、「表現の自由」を制限したり、検閲したりするということはあってはなりません。次に、憲法第12条、こちらは「日本国憲法に書かれている権利や自由について国民はこれを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」っと規定しています。
この両者、どちらか一方であってはならないつくづくそう思います。

今回、問題の発端となったのはあいちトリエンナーレ2019の中の企画展である「表現の不自由展・その後」についてです。

韓国が国家的に捏造しているといえる従軍慰安婦問題がありますよね。その従軍慰安婦を象徴する像が展示されたり、昭和天皇の肖像画をガスバーナーで燃やしている動画などの展示がありました。

まず私の率直な個人的感想を言うならば、「自由」と「不快」、すなわち憲法の21条と12条の「表現の自由」と「公共の福祉」がそこにそこにあるわけですが、それ以前の問題として「事実じゃないだろう!」というところが引っかかります。

もちろん小説だって映画だって絵画だって何だって芸術には、フィクションもあればノンフィクションもありますから、それはいいわけですが、しかし捏造された国際問題が、政争だろうが美術だろうが、そもそも許されないと思うんです。すなわち「芸術という場を利用している」「芸術という名を借りている」と思えて仕方ない。これはあくまで私の個人的感想です。

さて、文化庁が補助金を出さない理由は、「円滑な運営を脅かす事実を主催者が認識していたのにも関わらず、報告をしてこなかった」という手続き論です。すなわち内容が問題ではないということでしょう。仮に内容が問題で補助金を出さないとなれば、これは検閲だという話になります。これに対して主催者の会長である大村知事は、国の対応について裁判で争う姿勢を見せています。大村会長はこの企画展を一度は中止しました。そのときの理由は「安全の確保などの危機管理上の理由」でした。要するに両者とも企画展の中身には問題がないということです。

いわば本音と建前というのがここにあると言えるわけですけれども、憲法21条と12条、これは当然どちらも大事ですが、この憲法議論については専門的見地から裁判の判例などで示してもらう以外にはありません。そこは法の解釈論や統治行為の原則論になるわけですけれども、国民から見ればですね、憲法21条と12条のどちらも大事だけれども、どちらも極端なことは誰のためにもならないんじゃないかという感覚ですね。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年10月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。