風を読んだか?中央日報、突如として韓国大統領府を猛批判!

高橋 克己

3日にソウル光化門で大規模な「反チョ・グク」兼「文大統領糾弾」のデモが行われたが、4日の中央日報は、朝6時にデモ報道記事を報じ、11時に「“法務部長官妻の優遇召喚”…厳格な捜査基調が揺れてはならない=韓国」との社説を載せるや、16時には「李洛淵首相の嘘=韓国」とのコラムを掲載し、青瓦台(大統領府)を猛烈に批判した。

韓国大統領府Facebookより:編集部

6時の「“チョ・グク法務部長官、辞退を”光化門~ソウル駅の2.1キロメートを埋め尽くした」との記事では、先月28日の「チョ・グク守護集会」が「8~10車線道路1.2キロの区間」だった一方、3日の「反チョ・グク」「文糾弾」デモが「10~12車線道路」の2.1キロを埋めたとした。後者の方がザッと2倍の人数だったと言いたいようだ。

3日に行われた光化門広場の反文在寅デモを伝えるKBSニュースより:編集部

11時の社説は文在寅に叱られて日和ったようにも見える検察批判。チョ・グクの妻を韓国恒例の「晒しもの」にしなかったのを、「このような非公開召喚は当初検察が明らかにした“事実上公開召喚”方針に反するもの」と難じ、「国政壟断捜査当時崔順実被告の娘、チョン・ユラ氏などの検察出席がメディアに公開されたことを考えると納得し難い」と批判した。

社説は結びで、「チョ長官家族に対する捜査は頂点に達している。関係者の証拠隠滅疑惑まで浮上している。検察は“すべての国民は法の前に平等だ”という憲法の条項を思い出して厳格な捜査基調が乱れないように念を押してほしい」と釘を刺した。

この釘は検察というよりもむしろ青瓦台の文大統領に刺したと筆者は見る。なぜなら文氏は今回のチョ・グク一族に対する検察の捜査ぶりについて、人権だの何だのを言うばかりで肝心な「法治」、すなわち「法に基づく捜査」は一言も口にしない。二言目には大法院判決を口にする弁護士上がりなのに。

そして極め付きが16時のコラムだ。中央日報のこんな厳しい論調を見るのは初めてだ。題こそ「李洛淵首相の嘘」だが、記事が嘘つき呼ばわりしたのは李洛淵首相だけに限らない。文大統領にも、そして文氏の戦友で最も赤いといわれる朴元淳ソウル市長にも矛先を向けている。

李首相の嘘は検察がチョ・グク宅の捜索時に「女性2人だけ居る家で多くの男性が11時間の間、物をひっくり返し食事を出前を取って食べたりしたのは、どう見ても行き過ぎていた」という嘘だそうだ。即座に検察に「時間が長くなりチョ・グク長官の家族の勧めで食事をした」が妻と娘だけでなく息子と弁護士達もいた、と釈明されたらしい。まあ他愛ない嘘ではある。

文大統領の嘘は「本人主宰の閣議で議決した」予算がマスコミに問題視されるや、青瓦台の報道官が大統領は「指示しても望んでもいないことだから激怒した」と述べたのだが、後に「(報道官の)この公式会見(の内容)が偽りだと露呈した」のだそうだ。文在寅氏のことだから別に驚かないが。

朴市長のは、「ソウル市傘下の交通公社の雇用世襲と採用不正が監査院の監査で確認されると“採用不正は事実ではなかった”と大胆な嘘を言い、逆にマスコミを非難した」件だ。「常識のある人はその厚かましさに言葉を失ったが、マスコミに矛先を変えて自らの過ちは隠し、チョ・グク法務部長官関連報道に不満を抱いた現政権支持者から拍手を受けた」と報じている。これもありそう。

コラムは冒頭で昨年ベストセラーになった現職検事の著作「検事内戦」は「(韓国は)詐欺共和国だ」との書き出しで始まるとしたが、こう書いたのは「“詐欺共和国”という言葉を最近のように大きく実感したことがなかったからだ。政府の高官でさえ公式の場ですぐに判明する嘘を競争するようにまくしたてるのだから。違うだろうか」としている。

これも文在寅に叱られて、いつの間にか朝鮮日報が日本語版への社説やコラムの掲載をやめ、保守派の記者を干している理由が、5月6日の筆者のアゴラ投稿「“反日”で韓国を駄目にした…朝鮮日報が文在寅政権を猛批判!」にあると勝手に思っている筆者は「中央日報大丈夫か?」と気にしてしまう(笑)。

冗談は措くとして、日和見に定評のある中央日報がここまで強い表現で青瓦台を批判するからには、何か裏付けめいたものがあるのではなかろうか、と思われてならない。いよいよ韓国からは目が離せなくなってきた。

高橋 克己 在野の近現代史研究家
メーカー在職中は海外展開やM&Aなどを担当。台湾勤務中に日本統治時代の遺骨を納めた慰霊塔や日本人学校の移転問題に関わったのを機にライフワークとして東アジア近現代史を研究している。