森ゆうこ参議院議員の10月19日深夜の「国家戦略特区ワーキンググループ 何が問題か」連続ツイートについて、引き続き、ひとつずつコメントする。
その前に、連載①で「会食」の事実を否定した。すると、21日にまた、森議員のツイートがあった。
内閣府の報告 割烹料理屋における会食
「確認したところ、打ち合わせには立ち寄り同席したと。ただ、会食は行っていない。」国家戦略特区への提案を希望する学校法人との会食
— 参議院議員森ゆうこ (@moriyukogiin) 2019年10月21日
もう一度繰り返すが、
・15時まで福岡市中心部で福岡市主催のイベントに出席した。
・遅くとも16時頃には空港に向かった。
・その間に「会食」をした可能性は全くない。
・(連続ツイート9で記載されていた)藤原氏が「会食場所に行ったことを認めた」との事実はない。
4点目は、念のため、公開されている野党合同ヒアリングの動画もひととおり確認したが、内閣府からそんな説明はなされていない。藤原氏も私も、内閣府にそんなことを伝えていない。
森議員は、次々にツイートする前に、間違った情報発信をしたときは訂正しなければいけない。
新たなツイートでは「割烹料理屋における会食」との記載もある。夕方15時台に「割烹料理屋」にいったとでもいうのだろうか。ありえない話だ。
10【国家戦略特区ワーキンググループ 何が問題か】
・「特区ビズ」社 ホームページに業績 「特区WGヒアリング済み」として広報されていた
嘉悦大学ホールディングス
外国人美容師養成
真珠養殖 (ヒアリングの開催自体を隠蔽)
についての、特区WGヒアリング議事録が非公開のまま。— 参議院議員森ゆうこ (@moriyukogiin) 2019年10月19日
嘉悦大学は、特区提案を行ったことも、特区WGヒアリングに参加したこともない。ツイートでは「特区WGヒアリング(が存在したが)議事録が非公開」といっているが、そんな事実は存在しない。
これ以上、固有名詞をあげて事実に反する情報発信をすべきでない。
真珠養殖については、提案者を守る目的で非公開としている。
(詳しくは以下参照)
毎日新聞が言う「隠ぺい」とは何か?
11【国家戦略特区ワーキンググループ 何が問題か】
水産庁公開議事要旨 から 真珠養殖の規制緩和についての水産庁ヒアリングでは、原英史座長代理が厳しく発言 ➡︎
業者の意向に沿う形で水産庁長官通達発出。
真珠養殖業者ヒアリング、水産庁ヒアリングは内閣府が未だに議事要旨を非公開。— 参議院議員森ゆうこ (@moriyukogiin) 2019年10月19日
水産庁通達は、漁業権行使につき不透明な実態があったため、適正化を図るために発出された。
12【国家戦略特区ワーキンググループ 何が問題か】
当初は、特区WGが事実上、審査・選定しているとしていた。
(首相官邸HP募集要項、特区WG初回会合議事録、首相答弁)
そして、
政府及び特区WG委員が、提案者にコンサル的業務である「指導・助言」を行うのは通常業務であると明言— 参議院議員森ゆうこ (@moriyukogiin) 2019年10月19日
一行目。特区の提案募集は、「国家戦略特別基本方針」(2014年2月25日閣議決定)で当初から一貫して定めているとおり、「広く現場から衆知を集める」目的で行っている。補助金や許認可のように、申請を審査・選定するプロセスとは根本的に異なる。制度上も事実上も、提案の「審査・選定」は行わない。
二行目。「コンサル的業務が通常業務」と明言した者は、特区WGや内閣府には存在しない。記載は事実に反する。連載②の6と同じ。
(詳しくは以下参照)
毎日新聞社の国家戦略特区を巡る報道への抗議
13 【国家戦略特区ワーキンググループ 何が問題か】
原座長代理の協力会社が提案事業者にコンサル業務を行い、200万円報酬を受けた、という毎日新聞報道に対して、『特区WG有志は「審査・選定」を行っていないので、コンサル的業務は問題ないと反論』(首相官邸HP)— 参議院議員森ゆうこ (@moriyukogiin) 2019年10月19日
「原座長代理の協力会社」は誤り。連載②の7と同じ。
また、八田達夫・特区WG座長らが抗議声明で指摘しているのは、「提案者への助言・支援は、特区WG委員の本来業務」ということ。特区WG以外の者の「コンサル的業務」について何ら言及していない。誤読だ。
(詳しくは以下参照)
毎日新聞社の国家戦略特区を巡る報道への抗議
14 【国家戦略特区ワーキンググループ 何が問題か】
特区WG委員の反論に合わせて
提案募集要項改変 (首相官邸HP) 2019年10月7日
➡︎2019年10月10日 衆院予算委
安倍総理 答弁修正・謝罪
担当大臣 「特区WGは審査・選定を行なっていない」— 参議院議員森ゆうこ (@moriyukogiin) 2019年10月19日
提案募集要項の記載は、曲解を招くとの指摘があった(現に毎日新聞は曲解した)ため修正したに過ぎない。国会で北村大臣も答弁しているとおり、運用は何ら変わらない。また、改変(元と違った形にすること)はなされていない。
(詳しくはこちらを参照)
10 月 15 日の国家戦略特区に関する毎日新聞記事(デジタル版)について:国家戦略特区 WG 座長 八田達夫
連載④に続く
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原 英史
1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理などを務める。著書に『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。
編集部より:この記事は原英史氏のFacebook投稿をベースに一部加筆・作成されました。