10月14日(祝)に、インターネット放送番組のAbema Priveに出演しました。その際に触れた、釜石の防災対策について紹介しておきたいと思います。放送内容は、下の番組サイトから見ることができます。
“105年の歴史” 福島 本宮市の映画館に濁流 大規模冠水で孤立した住民も
1. 一階に住居をつくらない
2016年の台風10号豪雨で、岩手県岩泉町の特別養護老人ホームで9人の高齢者が犠牲になりました。ホームは1階建てであり、せまる濁流に対して垂直避難ができなかったことが原因でした。
釜石の災害公営住宅は、津波の発生を想定し一階部分は駐車場やお店や交流施設とし、居住できるのは二階以上になっています。台風19号で浸水が起きた時も、公営住宅の居住部分は被害に遭いませんでした。
全国で浸水の恐れがある地域には、平屋建ての家が少なくありません。そうした方々の避難をいかに誘導していくか、課題が残ります。
2. ハザードマップワークショップ
まず、東京都葛飾区と、釜石市大町町内会のハザードマップを並べますので見比べて下さい。
大きな違いは範囲です。葛飾区の人口は45万人ですが、ハザードマップは一枚で表現されています。一方の釜石市は3万人強であり、さらにこの大町地区には400人弱の方しか住んでいません。つまり釜石市は葛飾区の1千倍の密度でハザードマップを提供しているわけです。
また、釜石ではこのハザードマップ作成にあたって住民とともにワークショップを行っています。どのような事態で、具体的にどの建物の何階に避難するかがマップ上に反映されていますし、また実際に住民がワークショップを通じて内容を深く理解できているわけです。
今回も恐れがあったように荒川が氾濫すると、葛飾区では4-5mの浸水があると予測されています。その意味では釜石と同様のリスクを抱えているわけですが、釜石ほどの緻密さで対応できてはいません。葛飾に限らず、全国のほとんどの自治体か同様の状況にあるのです。
洪水・土砂災害への地域防災の取り組み(平成29年度 東部地区の一部)- 釜石市
浸水域にある方は、まずは自分や家族がいかに避難をするか、釜石市が作っているような地図を自分の周辺の地域にあてはめて検討してみてはいかがでしょうか。もしも可能であれば、近隣の方々とも一緒に検討してみる機会があればと思います。
基礎自治体レベルで対応していくのは困難かもしれません。災害対応をいかに釜石レベルに引き上げていくか、国のリーダーシップも必要だと感じます。
編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2019年10月23日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。