「ほんま高いわ」
「税金の無駄やで」
「ステマや(ステルスマーケティング)」
といった批判が秋の京都、いや全国で吹き荒れている。
しゃべくり漫才で人気の「ミキ」(吉本所属のお笑いコンビ、兄の昴生さんと弟の亜生さん)が批判にあっているのだ。2018年度の京都市の委託事業において、ミキがツイッターで「京都国際映画祭」のPRを発信した対価が100万円ということが明らかになったからだ。
蓮舫参議院議員はツイッターで「政治と吉本興業の近さに違和感」とまで述べた。
「PR」と入れなかったので明確な広告表示をしていないのは、市の方も反省しているし、それは何とも言えない。しかし、蓮舫議員の「政治とよしもとの違和感」は言い過ぎである。委託業者としてそれなりの選定を経て、業務をしているだけだからだ。
政策評価してみると…
ここでは100万円の妥当性を検証してみよう。
そもそも京都国際映画祭とは何か。2014年から始まったイベントで、「映画のみならず、アート、パフォーマンス、工芸、演芸も対象にイベントを開催」しているものである。
詳細は以下になる。
名称:京都国際映画祭2018/KYOTO INTERNATIONAL FILM AND ART FESTIVAL 2019
会期:2018年10月11日(木)~14日(日)
主催:京都国際映画祭実行委員会
運営:株式会社きょうのよしもと ※「株式会社きょうのよしもと」は京都国際映画祭実行委員会より映画祭業務の運営委託を受けた会社です。
支援:京都市
特別後援:京都新聞、KBS京都
後援・協力:京都府、一般社団法人京都位置情報活用協議会
協力:文化庁 地域文化創生本部
【出典】京都国際映画祭HP
今回のPR総額420万円で、うち100万円が今回の対象である。条件は「20万人のフォロワーを持つタレントが2回にわたって発信すること」が条件だとのこと。
ミキのツイッターフォロワー数は
・ミキ 亜生 16.4万 フォロワー
・ミキ 亜生 29.3万 フォロワー
京都市左京区出身の二人で、新進気鋭の若手、しかも若くて人気があり、高齢者にも人気が高いタレント。
インフルエンサーマーケティングの専門家からすると、地元京都出身の「ご祝儀価格」やターゲットへの遡及から見ると「普通」とのこと。これだけのタレント、波及効果を含めて当然なのだという。
政策評価してみると…
京都市が公開している「京都国際映画祭への支援などによる映画・映像文化等の振興」を見ると、
指標名:京都国際映画祭の来場者数
目標値:30万人
という事業である。政策評価の専門家としてみてみると、PRにかける費用100万円だけをみて、議論をするのはナンセンス。
◆目的:若者への情報発信
◆成果:いいね数、リツイート数、リンクのクリック数:<参考>10/6の弟の記事はいいね数:2140、リツイート数:168
◆コスト:100万円
この視点がないと意味がない。どれだけPRがターゲット層に刺さるか、波及されたかを考えるべき。事業の目標と成果との兼ね合いである。基準はわからないが、そう悪くない数字と思われる。
判断つかない理由、事務事業評価の個別事業を公開しましょ!
「京都市事務事業評価」サイトから京都市の他の広告媒体にどれくらいかかるのか?を見てみようと思ったが、個別事業は公開されていない。今後、事務事業評価での公開は必要だし、ツイッター分析した結果を説明すべきではあろう。
「あーせい、こーせい」いうのも、事業を詳しく知ってからにしたいものだ。
国民がミキに対して揚げ足を取るだけでは、昴生が金切り声でキレてしまうかもしれない。
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西村 健
日本公共利益研究所 代表・主席研究員