NY州経済を左右する産業とは?

NYを訪れていたので、またまたこんなお話を。今回は、NY州の成長率を振り返っていきます。

(カバー写真:Francis Mariani/Flickr)

2019年Q1のNY州実質成長率は前期比年率6.0%増と米国全体の同3.1%増を超え州別ランキング3位のパフォーマンスを遂げました。金融市場が2018年10月以降の急落から2019年Q1に回復した結果、2018年Q4の2.6%減から大幅に改善した格好です。NY州を産業別で切り取ると、金融は約3割を占めますから市場動向に振り回されやすいのですよね。NY州経済の強みであり、泣き所はウォール街と捉えられます。逆にQ2はご覧の通り米中貿易摩擦に振り回され同1.7%増にとどまり、州別ランキングでも31位に甘んじておりました。

他の州経済はどうでしょうか。2017年に続き2018年の成長率上位10州、下位10州ではご覧の通り西高東低の天気図のような数字となりました。

(作成:My Big Apple NY)

(ご参考:速報値ベースの2017年成長率と人口増減、専門サービス・情報と製造業の比率など)※人口は前年比

(作成:My Big Apple NY)

西高東低型となった背景として、人口動態と産業構造の違いが挙げられます。成長著しい州は人口増加が全米平均を上回り、専門サービス・情報(士業、プログラマー、出版など)のシェアが高く製造業のシェア低いのですよ。下位10州はその逆を行く展開となっていますね。

また、鉱業や金融など一部の産業への偏りが顕著な州でも成長率は鈍化していました。産業構造も州経済の健全性にはバランスが大事、ということなのでしょう。ただ、米中の追加関税が撤廃されれば、一時的に製造業を始め鉱業、金融など巻き戻しの恩恵が現れ、該当する州経済を押し上げる可能性も残します。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年11月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。