ハイチへの公式訪問:深刻な治安、正念場を日本がどう支えるか

1804年に世界で初めて黒人の手で独立した共和国でもあるハイチは、スペイン語圏でもあるドミニカ共和国とは全く異なる発展を遂げた国です。

残念ながら現在では一人当たりGDPが800ドル程度と西半球の最貧国ともいわれる状況で、また政治状況が大変不安定で日常的に非常に暴力的な反政府運動が行われ、学校も開始できないなど国の機能が大幅に低下しています。このことが、30万人といわれる死者が出た大地震や数回にわたるハリケーンにより壊滅状態となった状況に拍車をかけています。

そのような状況の中、11月10日夜から12日午前までの日程でハイチを公式訪問しました。ハイチへの要人の訪問は今年夏の蔡英文台湾総統以来ということで、大変重要な役割を担うことにもなりました。

先週以来暴動が若干落ち着いてきたこともあり、街中にも人や車が出始めた状況の中で、私の目には少し活気があるように感じられましたが、当然のことながら治安は深刻で武装警察の護衛なくして外出できるような状況でなく、まさにこれからが正念場です。

そのような中、モイーズ大統領とも私邸で約1時間にわたって会談し、外務大臣との会談を行ったほか、久々の要人訪問ということで外務大臣主催の歓迎レセプションが閣僚や政府幹部、財界人や外交団を集めて行われたほか、JICAや現地で橋梁の建設にあたっている安藤ハザマの方やNGOといった在留邦人の方々との意見交換や、JICAプロジェクトの現場訪問などを行いました。

外出禁止となった時もあり、綱渡りではありましたが、全日程を無事に終えることができました。
会談の中身について詳細はオープンにできませんが、ハイチの今後の国づくりに向けた様々な分野に関する意見交換や日本や外国の関与の在り方、東アジア情勢を含む国際情勢についても突っ込んだ話をすることができました。

北米市場にも近く、約1000万人の人口を擁するハイチはカリブ海諸国の中ではポテンシャルは非常に大きな国です。ただ、もちろん国が成長の軌道に乗るためには人材育成・教育など時間がかかる取り組みが不可欠です。

当面の人道支援に加えてどのようにしてこうした環境をセットアップしていくことができるか。私も担当の外務副大臣として注視していきたいと思います。

鈴木 馨祐   外務副大臣、衆議院議員(自由民主党、神奈川7区)


編集部より:この記事は、外務副大臣、衆議院議員の鈴木馨祐氏(神奈川7区)のブログ2019年11月15日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「政治家  鈴木けいすけの国政日々雑感」をご覧ください。