アパホテルというと、部屋が狭いのに宿泊料金が高いというイメージがあります。しかし、常に高い訳ではなく各ホテルの支配人に権限を与え、需要の強弱に応じて柔軟に価格を変更するレベニューマネジメントを行っている結果、ピーク時に高い宿泊料となってしまっているのです。
そんな客室数を急拡大し、国内で最も室数が多くなったアパホテルに強力なライバルが出現しました。ソフトバンクGが出資しているインドのホテルチェーンOYO(オヨ)です。報道によれば、2020年3月までに日本国内で7万5千室を展開する計画を立てています。アパホテルが現状約7万室ですから、半年足らずで部屋数ではナンバーワンに躍り出ることになります。本当に可能なのでしょうか?
といっても、オヨはホテルを新規に建設するのではありません。既存のホテルをオヨブランドに看板変えして、宿泊ビジネスのインフラを提供するビジネスモデルです。そのキモになるのが、人工知能(AI)で競合宿泊施設の需給を予測し、宿泊料金を設定するダイナミックプライシングです。
アパホテルとオヨがビジネスホテルの世界で競争を始めると、どうなるでしょうか。
東京ではビジネスホテルが次々と建設されていますが、それらの多くは価格競争に巻き込まれ、撤退に追い込まれるでしょう。中には、オヨのフランチャイズとして生き残るホテルも出てくるかもしれません。
東京オリンピック後の2021年には、東京ではビジネスホテルが12000室過剰になるという不動産専門家の予測データもあります。そうなれば、さらに競争は激化し、価格競争が始まると思われます。
「アパホテルが3万円!」というような状況は、オヨが破壊してくれるかもしれません。
果たして、オヨが本当に日本最大の部屋数を持つホテルチェーンに短期間になることができるのか?ウィーワークで苦境に陥っているソフトバンクGのホテル戦略とそれによる日本国内のホテルビジネスの激変に注目しています。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年11月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。