TLに味わい深いツイートが流れてきた。土屋アンナさんの子育てに関するものだ。見出しに「0時に就寝し、6時には起きる生活!」とある。そりゃ、当然だろ、むしろ寝ていないかというツッコミが拡散していた。
もともとの記事はこれだろう。
土屋アンナ 4人の子育てに大奮闘…午前0時前に就寝、翌6時に起きる毎日(デイリースポーツ)
なるほど、たしかにこれは
ラーメン屋で「ウチは味噌、塩、醤油の3種類の味があるんだよ!」と言われるような
小学校で「ウチは6年間、教えるんですよ」と言われるような
中学生に「俺は九九をマスターしたんだぞ」と言われるような
そんな言葉に近いものを感じる。
当たり前だろ、と。
とはいえ、本文を読み、彼女がどのような仕事をしているかと想像すると、たしかに土屋アンナが「すごい」と感じられる部分もある。芸能活動、モデル活動をしていながら、この4人育児と睡眠時間は肌の健康を保つためにも大事なのではないか、と。さらには、自由奔放な空気が漂う彼女からすると、規則正しい生活をしているのではないか、と。
育児と仕事の両立については、私はダメ出しではなく、ポジだし、さらにはdisりよりも、褒めが必要だと考えている。「当たり前だろ」「ウチはもっと大変だ」と言いたくもなる。「日本はまだまだ遅れている」という話にもなる。それも正しいし、家族のためにも、社会と会社を回していくためにも、育児への参加、そしてその支援は大切である。
出張先でこのエントリーを書いているが、今頃、家族の料理を作ったり、保育園に送っていったりしている人は多数いるだろう。研修の引率なのに、むしろぐっすり眠れているし、体調もいいいのは、育児や家事から離れた生活を送っているからだなと思ったりもする。
育児に関しては、パートナーや社会に対する怒りが燃え上がったりする。社会や会社によるサポートもまだまだ足りない。
さらには、特に男女に限らず、バリバリ働いている人、忙しい人が育児、家事に取り組んでも、ついでにやっている程度にしか見られなかったりするし、それを仮に周りが(嫌な表現だけど)「イクメンだ」「キャリアウーマンなのに育児もバッチリなんですね」と称賛したとしても、パートナーは「もっとやってよ」と思っていたりもする。
とはいえ、それぞれの仕事の事情を考慮すること、彼ら彼女なりに頑張っていることをちゃんと褒めることは大事である。いや、たしかに「夜0時に寝て6時に起きる生活」って「当たり前やん」とか「むしろ健康的」と言いたくもなるのだけど。
この本では、私は平日に1日4時間育児・家事に没頭していると書いたが、現在では、6時間になっていることに気づいた。とはいえ、この手の話をすると「男性もそこまでする時代になったか」「ウチの旦那に読ませたい」と言われる一方で「それくらいで自慢するな」「そういうモヤモヤを女性はずっと抱えていたんだ」という批判を頂いたりもする。気持ちはよくわかる。でも、それぞれの置かれている状況を理解し、相対的に低いのかもしれないが、立派な努力、取り組みをちゃんと評価するべきだ。
だから、私は言いたい。「土屋アンナ、頑張ってる」と。5年前の「NAONのYAON」でのパフォーマンスがカッコよすぎた彼女だが、生き方もかっこいい。ありがとう。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2019年11月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。