勝谷さんなら中国の人権問題を“無視”する日本に喝をこう入れたはず

西村 健

アメリカでは、香港人権法(Hong Kong Human Rights and Democracy Act)が制定された。

・1992年に成立した「香港政策法」を修正し、新たな規定を加えたもの
・香港の高度の自治が損なわれていないかについて検証、議会に報告する
・香港の自治や人権を侵害した人の入国禁止や資産凍結などの制裁も

といったものだ。

The White House/flickr:編集部

トランプ大統領は米中貿易摩擦もあってそれほど強硬姿勢を示しているわけではないが、香港をめぐり国際社会は声を上げ始めている。

さらにもうひとつ、中国の新疆ウイグル自治区でウイグル人が中国共産党の「再教育」キャンプに強制収容されていることがNYタイムズのスクープで明らかになると、イギリス政府はウイグル人に対する中国政府の人権弾圧的な活動を批判した。

しかし、日本では、政治家、メディアでもほぼ言わない人ばかり。
日本政府は言いにくいのなら、議員が言うべきだが。議員の発信があまりにも弱い。

韓国には厳しい意見を言う保守勢力もだんまり…。

桜を見る会には意見を言っても、この件はだんまりでなんでしょうか?避けている?
一言でこの状況を表現すると、超党派で言及するアメリカ、無視する日本(笑)という状況。

昨年他界した筆者が尊敬するコラムニスト勝谷誠彦さんだったらどう思うのか?何を主張するのか?と思いをはせ、先日一周忌を迎えたこともあり、その意をくんで書こうと思う。

勝谷さんならこういう!(はず)

勝谷さんと筆者、ST撮影

勝谷さん的な文章を書いてみる(以下)。

香港の学生たちよ!義をもって立ち上った!君たちの声を日本は真っ先に支援すべきときだ。そもそも逃亡犯条例改正案デモからスタートしたわけだが、空港や地下鉄などでデモ、封鎖など、確かに荒っぽい行為に出た。

しかし、それは熱き情熱で民主主義の炎を保とうとしている勇気ある行動なのだ。催涙弾が使用され、警察官が丸腰のデモ参加者に至近距離から発砲している姿を見ていて、まさに天安門事件再びではないのか。

今も香港理工大学に学生が立てこもっているが、大学を包囲されてもデモ隊は火炎瓶や弓矢で対抗している。下水道を通ってもいるらしい。まさに、レジスタンス。これは現代の、民主主義を守る攻防戦。

どっちが勝つかで人間社会の未来が決まるのだ。

香港市内、YA撮影

共産党の意を受けた香港政府は、覆面でのデモまで規制した。しかし、香港の裁判所は、デモ隊の覆面を禁じる規則について香港基本法に違反すると認めた。そう、司法もまっとうな裁きをしている。また、香港市民の英領事館元職員が拘束中に拷問を受けたことに対して、イギリスは厳しく批判。アメリカのトランプ大統領は「私がいなければ、香港は14分で壊滅させられている」とまで発言している。

トランプのホラ(笑)は別として、それなりにアメリカ議会も動いている。

そして、区議会選挙で、民主派が大きく議席を伸ばした。勝利!正義は勝ったのだ。

しかし、一方、まだウイグルでは良民在民が思想教育を受けているなど苦しんでいる。この人たちはイスラム教徒ではあるが、一つの民族である。ウイグル人にいったい何が起きているのか、共産党政府は示すべきだろう。それが国際社会のルールなのだから。

そして、日本の人権団体なにしとんねん?保守も!
(勝谷さん的文章おわり)

巨大な中国を前にして日本はどうするの??

世界各国でウイグル問題のデモが行われている(世界ウイグル会議Facebookより)

我が国の各党の状況を見てみよう。

香港については一国二制度についての改めての確認、ウイグル問題は事実確認が必要になるのに、政治家さんたちからまっとうな主張は聞こえてこない。超党派で香港やウイグルに言及するアメリカ、“無視”する日本(泣)の状況では、共産党政府に国家資本主義の体制変容を求めるアイデアさえ期待できない。

このままだと…

習近平さんの4月の訪日を考えて何も言わない

失う経済利益ばかり考えてひよる

中国から完全に舐められる(高度な外交戦略などない国だと)

じわじわと中国の外交戦略の前に圧倒される

アメリカと一蓮托生になるかしか外交手段がなくなる

ということにならないか。強い懸念を抱いてしまう。

イギリス△!

イギリスは、新疆における人権状況と中国政府の弾圧強化を深く憂慮する旨を求め、国連監視団受け入れを要求している。まさに、これこそ「外交」といったところだろう。また、トランプ大統領は別としてアメリカの複数の政府高官は強制収容を非難している

さらにチェコ議会ですら「法輪功、クリスチャン、ウイグル人、チベット人への迫害に反対し、同政権に対して無実の罪で囚われた人々の釈放を要求し、国際基準の人権を遵守するよう」主張している。

他方、中国の劉暁明さん(駐英大使)は、過去3年間、テロ攻撃は1件も起きていないこと、人々は満足しているという反論、内政干渉だという主張を展開している。

日本の国是は「平和」なはず。第一に、中国の現状の主張の根拠を丁寧に聞くべきだろう。第二に、国連監視団の受け入れを柔らかに促すべきだろう。別に中国を批判しなくてもいい、両者の仲介・妥協点をさぐるのでもいい。それこそが「外交」だろう。

習近平氏の訪日まで何もしない、超大国を恐れて事を荒立てないのは、平安時代の朝貢外交と何にも変わらないのではないか。

安倍さん、ここがチャンスでは?桜を見る会で受けたダメージを回復するためにも、外交の安倍を見せていってみては?習近平さんと桜を見る季節までに「美しい国」を見せて欲しいです。

西村 健
日本公共利益研究所 代表・主席研究員