今年のブラックフライデーは過去最高を更新しましたが、サイバーマンデーも期待通りの結果となりました。
アドビ・アナリティクスによれば、サイバーマンデーの売上高は前年比19.7%増の94億ドル(約1兆円)と、予想と一致。1時間で1,200万ドルの売上を計上したと考えれば、その勢いが想像できるでしょうか。しかも、夜遅くの駆け込み需要が奏功し、午後10時から午前2時までだけで29億ドル、約3分の1を売り上げたといいます。
世代交代と共に、こちらで指摘した通りアメリカ人の意識が変化したとみられ、1人当たり平均支出額は前年比6%増でした。そのうち、スマートフォンを通じた売上高は約30億ドル、割合としては33%と前年比で46%もの大幅上昇を記録。感謝祭やブラックフライデーと同じく、買い物のプラットフォームとして、スマートフォンが台頭した様子が浮き彫りとなっています。スマホ画面が大きくなるにつれ、ファットフィンガーならぬ打ち間違いも解消され、買い安心感も高まったに違いありません。
今年はブラックフライデーから週末にかけ最低気温がマイナスに落ち込み、サイバーマンデーの月曜にはセントラル・パークで4㎝の積雪を観測したことも、ネット売上高の追い風になったようです。
東京は昨年、一度も積雪に見舞われませんでしたが、今年のNYは11月初めからマイナス気温入りの状況。
点簿を、こちらで少しご紹介した”ネットで買ってお店でピックアップ:BOPIS(Buy Online Pick In-Store)”も絶好調。前年比41%増でしたから、ここに注力する小売業の勝ち組の業績を押し上げた可能性があります。
ネット通販大手アマゾンも、好結果に沸いています。ニュースリリースによれば、感謝祭からサイバーマンデーの注文数は世界全体で「数億件」に及びました。特にサイバーマンデーは、7月のアマゾンの会員向けセール日にあたるプライム・デーやブラックフライデーを超える売上高を記録したとか。その他、傘下のオーガニック系スーパー、ホールフーズ・マーケットでは、七面鳥の売上高が過去最高を更新したといいます。
11月1日から12月2日までのオンライン売上高はといいますと、815億ドル也。このままいけば、今年の年末商戦は前年比14.1%増の1,438億ドルが見込まれます。米中貿易摩擦が逆風となり不振に喘ぐ製造業部門に対し、消費者部門は明るいムードでの年越しを迎えられそうです。
トランプ大統領は、仏政府によるデジタル課税の報復措置としてスパークリングワインや高級ハンドバッグなど仏製品24億ドル(輸入額の5%相当)に報復関税を賦課する構えをみせますが、公募期間は2020年1月6日、公聴会は同年1月7日開始ですから発動はそれ以降ですよね。クリスマス気分に水を差すリスクは低い、との算段も働いたのでしょう。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2019年12月4日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。