口座管理手数料を取る前に日本の銀行にやって欲しいこと

内藤 忍

日本経済新聞によると、三菱UFJ銀行は2年間取引がない不稼働口座から年間1200円の手数料を徴収する検討を始めたそうです。

ただし、手数料をかけようとしているのは新規口座だけで、既存口座は対象外ということで、導入直前には駆け込みで新規口座開設が増えそうです。

低金利の中での口座管理料の徴収は利用者からの反発が大きいと予想しました。しかし、長引く低金利により銀行の収益も悪化しており、収益を生まない口座に対してはコストに見合った顧客負担を求めるのは、仕方がないとも言えます。

それよりも、日本の銀行のサービスに関しては、改善をして欲しい点がいくつかあります。

1つは、口座の振込金額の制限です。

私がメインで使っている金融機関は、法人口座のATMからの振り込み金額が1日500万円、1かげつで1,000万円に制限されています。

しかし、税金の支払いや、クレジットカードの引き落としで、他行の口座に1000万円以上の資金を移動させることは珍しくありません。しかし、そのような場合ATMが使えず、窓口手続きになってしまうのです。

ATMの利用限度額を引き上げたいと依頼しても、社内ルールなのでできませんの一点張り。安全性に配慮しているというのが銀行側の言い分でしょうが、自分の資産を自分の口座に自由に移せないのは、本当に不便です。

もう1つは、海外送金の制約です。海外不動産の購入などで日本の銀行の窓口で海外送金しようとすると、手続きに数時間かかったり、最悪の場合、送金自体を拒否されることもあります。

マネーロンダリングや海外への資産の流出を懸念しているのかもしれませんが、自分の財産を自由に動かすことを銀行が阻止する理由がよくわかりません。

国内の銀行の使い勝手が悪くなればなるほど海外の銀行口座を使う人が増えてきます。ネットバンクを遣えば、日本より遥かに簡単に資金移動ができる。銀行という業態は、変化の激しい今の世の中から完全に取り残された存在になっているように思えて仕方ありません。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年12月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。