皆様は平成バブルをご存知ですか。平成バブルとは、プラザ合意後の、1986年12月~1991年2月までを指すのが一般的です。絶頂期の1989年12月29日、日経平均株価は終値で3万8915円87銭を記録し、誰もがこの好景気の拡大を疑いませんでした。
当時、筆者は学生でしたが、銀行に就職した大学のOBに「賞与が立つ」という話をされたことがあります。これは「賞与が札束で支給されるので封筒が立つ」という意味です。
今回は、15冊目(今年3冊目)の著書『「明日やろう」「後でやろう」がなくなる すぐやるスイッチ』(総合法令出版)から、すぐやることのメリットについて解説します。
その後、バブル経済の崩壊は突然やって来ます。とはいっても、ある瞬間に発生した現象ではありませんので、「バブル崩壊を体感」できたわけではありません。誰もが、バブル崩壊と気が付かず、数年間を掛けて生じてきた社会現象だったのです。賃金は2002年を境に下がり始め、日本は「失われた30年」と呼ばれる経済の低迷期に突入します。
バブル時代では多くのビジョンが共有されました。入社3年以内にリーダーに昇格して、30歳代前半でマネジャーか課長に昇進。5~6名のチームを任される。30代後半で部長に昇進して、子会社の役員に出向。もしくは本社の事業本部長を目指す。そうなったら年収は1200万円は超える。接待費で銀座で飲み、タクシーチケットも使いたい放題。それから……バラ色の人生と言えるでしょう。
今のサラリーマン、とりわけ若い世代はこのようなビジョンを描ける環境には置かれていません。将来が見えにくいですから、やる気も踏ん張りも利かなくなり燃え尽きてしまうのです。しかし、会社に在籍するなら、期待される成果を出し続けなければ会社には残れません。すぐやる、すぐ成果を出す人だけが生き残れるのです。
理不尽な上司と対峙するために「メンタルを強くしたい」と言う人がいます。筆者は人事の専門家として多くのアセスメント開発に関わってきました。その経験から話すと、メンタルはいくら鍛えても強くはなりません。むしろ鍛えようと頑張ることでストレスを抱えてしまったら逆効果です。
パワハラ改善の研修や、法規制もできつつあるので、上司が変わることに期待したいという人もいるでしょう。しかし、あまり期待しないほうがいいでしょう。人を怒鳴る行動は反射的に起こるものです。熱いものを触ったら「アチっ」と手を離すことと同じです。そのまま触っていたら大やけどをして命を危険にさらします。怒鳴るのも同じと言えます。「瞬間スイッチ」ですから防ぐことはできません。
ではどうすればいいのでしょうか?それは怒鳴られないための行動を取る以外にありません。それが本書のテーマの一つである「すぐやる」ことになります。すぐやることで上司のストレスから解放されます。仕事のスピードもアップします。あなたがすぐやれば、上司の評価も変わるはずです。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
※15冊目の著書『「明日やろう」「後でやろう」がなくなる すぐやるスイッチ』(総合法令出版)を出版しました。