守れ、葛西臨海水族園③小池知事が無視し続けた建築学会要望書

昨日は、都議会はお姐の出番はありませんでしたが、第4回定例会一般質問でありました。最後に、共産党議員から、昨日の代表質問において、本会議初日、小池百合子知事所信表明でお得意の鶴の一声で突然発表となったのではないか?と話題になっている都立病院の独立行政法人化に関する質疑の知事答弁が不明瞭であったことから動議(議会運営・進行や手続き質疑・答弁等に疑義や異議があった場合、議員が本会議中挙手をして提議すること。)がかかりました。

ところが、東京都議会会議規則第45条2「通告しない者が発言しようとするときは、起立して「議長」と呼び、議席番号又は自己の氏名を告げて議長の許可を得なければならない。」に則って、発言しているのですから本来議長は指名すべきなのに、都民ファーストの会の石川良一議長が無視し、通常、動議をシカトするなんてありえないので大紛糾しました。

“知事与党”都民Fの数の力で押し切ろうとしたのか、稲城市長を歴任したというのに議会進行が真面目にわからなかったのか、結果的に議事整理権を放棄しちゃったわけで、さすがに議会局からペーパー(カンペ)が入り、動議をうけるかどうか結局当該議員は指名されないままに決を図り、グダグダの仕切りの中多数決で否決されました。

お姐は、昨日の共産党質疑「病院経営本部長は、独法化をいつ知ったのか」「都立病院への約400億円の公費投入が、都は赤字だいう認識なのか」への明確な答弁がなく消化不良でしたので、動議には賛成しました。やれやれ…。民主主義も規則も冒涜し、古い都議会は、都民ファースト大量当選後、都議会ドン時代より更に独善的な運営となり戦時体制並みにもっと古くなっております、ハイ。

長寿命化を願う建築家と出会った!

※これまでの経緯は「守れ、葛西臨海水族園」(序章第1章第2章)ご参照ください。
さて、本会議中は都議が全員登庁しておりますので、さまざまな団体さんが各会派への陳情や要望に訪れます。今日は、なんと!お姐が葛西臨海水族園本館問題を取り上げていたことから、建築家の先生方が12月19日に開催されるシンポジウム「葛西臨海水族園の長寿命化を考える」参加及び12月23日開催「第4回 葛西臨海水族園事業計画検討会」傍聴のご案内を届けに来て下さいました!

▲左:豊洲問題でおなじみの森山高至先生、右:矢板久明先生

本会議前の慌ただしい時間ではありましたが、密度の濃いお話、建築家という専門家だからご存知の新事実、新しい資料なども頂戴できました。やっぱり独自調査しているよりも先生方に会って話せば話は早い!

前回、社会的にも認められているアカデミックな組織・建築家集団からの正式な申し入れを小池百合子東京都知事は、返事もせずに放置、無視をし続けたと申しあげましたが、その組織とは…かの!
日本建築学会でありました。先生方は、“あり方検討”の頃から憂慮し、““ハコモノ”更新構想”→世界的“巨匠”「谷口 吉生作品」の本館から水族館機能を奪う結論ありきの““ハコモノ”事業計画検討”へとすり替わっていくのではないかとロックオンされていたのであります。
そこで、建築のプロ集団は「小池知事に申し入れをしよう!」と、立ち上がられていたのです!

無視され続けた日本建築学会の要望書

このままでは、解体ありきで話が進んでしまうと、今年の2月に日本建築学会は正式に小池知事に要望書を提出されていたのでした。(詳細HPはこちら)
全文転載いたしますのでぜにご一読くださいませ。

東京都知事 小池百合子様
東京都建設局長 西倉鉄也様
建学発 2019-第 0008 号 2019年2月5日
一般社団法人 日本建築学会 会長 古谷誠章
葛西臨海水族園の保存活用に関する要望書

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 平素より、本会の活動につきましてご理解とご尽力を賜り、篤く御礼を申し上げます。 貴下が所有する東京都江戸川区の「葛西臨海水族園の更新に向けた基本構想」が2019 年 1 月に発表され、新たな水族園の実現に向けた検討が進められている由、うかがっております。 基本構想では、現在の水族園地内に、「既存施設とは別に建築する建物に水族園機能を移すことを基本とした検討」を進め、「既存施設については、水族園機能を移設後、施設の状態等を調査の上、そのあり方について検討」すると記されており、現在の建築の建替えの可能性も示唆する内容となっています。

ご承知のように、葛西臨海水族園は上野動物園 100 周年を記念して東京都が計画し、現代日本を代表する建築家の一人である谷口吉生(1937-)の設計により、1989(平成元)年に竣工した建築です。谷口は国内外に多くの美術館建築の名作を設計したことで知られますが、 水生生物の展示を目的とするこの施設においても、展示のための機能性と洗練された意匠を兼ね備えた優れた建築を設計し、これまで毎日芸術賞(1990)、建築業協会賞(BCS 賞)(1991)、 公共建築賞(1994)を受賞するなど高い評価を受けています。

とくに建築へ向かうアプロー チの構成や、入念に計画された建築と周辺環境との結びつきはこの建築作品を特徴づけるものであり、そこで試みられた非日常的な空間の演出は、東京の公共建築の中では唯一無二の価値をもつものといえます。現在、文化庁が実施している近現代建築を対象とする文化財調査で示された 7つの評価基準の内、「革新性」「地域性」「継続性」の三項目に該当する、東京都を代表する近現代建築と評することができます。

展示においても、マグロが回遊する巨大水槽をはじめとした画期的な展示方法が試みられており、従来の水族館の枠に収まらない新しい「水族園」を創出しようとした関係者の姿勢を今なお窺い知ることができます。ここで実践された変化に富む展示空間の設計はその後の日本の水族館の建築に影響を与えたとされ、さらにこの建築が広く市民に親しまれてきたことは、1989 年の開園より多くの入園者を集めてきた事実が示しております。

建設後 30 年近くが経過し、施設・設備の老朽化が進み、バリアフリー等の新たな問題や施設の増改築の要望が出てきていることに対して、長期的な整備の計画が必要であることは論を待ちませんが、しかしながら、竣工後 30 年に満たない優れた建築物を、建替えの可能性を含む検討の対象とすることは、持続可能な発展を目指す今日の社会が求める姿勢とは相容れないものと考えます。それは、多くの市民の記憶が蓄積し、今なお利用者に評価されているかけがえのない建築遺産を失うことに通じるものと危惧しております。

貴下におかれましては、この建物の有する文化的価値について改めてご理解いただき、既存建物の保存活用を考慮した適切な整備・改修計画の策定をご検討下さいますよう、お願い申し上げる次第です。

なお、本会はこの建物の保存活用に関して、学術的観点からのご相談をお受けいたします。
敬具

専門家として、文化的価値を指摘し、30年で老朽化ということがいかにナンセンスかを理路整然と指摘し、そしてそれだけではなく、いくらでも長期利用への力になると投げかけているのです。
建設局には建築士ホルダーは沢山いますが、こうした建築家が力になってくださることは本来なんとありがたいことではなかったでしょうか…。

しかし小池百合子知事は無視し続けたのです。

お姐が情報開示請求したとたん届いた返事

一方、鼻の利く、なにか持ってるお姐は、お姐で、12月23日の最後の検討会で「はい、本館は解体の方向で、ウン、結論ありき、検討しないこと検討する行政委員会ですからね!シャンシャン!」と終わることを懸念して、11月1日に葛西臨海水族園本館が本当に老朽化しているのか?わかるであろうあらゆる資料を情報開示請求をしておったのであります…。

今日、おいでいただいた、森山先生、矢板先生にお話を聞きましたら、なんと!その一週間後の11月8日に学会にお返事が届いたというではありませんか?

これっておかしくないですか?

9カ月も放置して、お姐が情報開示請求したら慌てて回答。

パブコメの中身もあたかも老朽化で解体やむ無し的な印象操作をし、さらに、要望書は無視し続ける。小池知事は「情報公開は一丁目一番地」「東京大改革」を高らかに掲げ、当選されたというのに、「情報公開」されて、ようやく動くとは本末転倒。都民を、日本建築学会の先生方を愚弄するにもほどがあります!

さらに、先生方からキョーガクの事実を教えていただきました。建設局へ「葛西臨海水族園の長寿命化を考える」シンポジウムへの参加をお願いしていたところ。以下のような木で鼻をくくったような回答がきたそうで、了承を得て掲載します。

「公務の都合により参加できない」のは知事であればそれは多忙なので納得できますが、早々たる講師陣が勢ぞろいであるというのに(御年91歳の槇文彦先生が登壇されるんですよ!)建設局及び葛西臨海水族園の担当職員が誰一人出席できないとは、研究心のかけらもないのかと、開いた口が塞がりません。

葛西臨海水族園本館をどうしてくのか、多くの可能性や選択肢を検討するために検討会議があるのではないのでしょうか。
情報開示できた資料と建築シロートお姐は格闘しておりましたが、今日面識を得て、先生方にも分析していただけることになりました。さぁて、本当に東京都はこれまで万全のメンテナンスをしていたのか見ものであります。…つづく!!

お姐総括!

議員がしっかりしてないと!議会運営も行政手続きもグッダグダ!
都議会唯一無二の一刀両断議員として、あまりの酷さからくる眩暈にめげず、おかしいことはおかしい!言い続けます!

★こちらも必見★
アリバイ委員会とさせまじ

本館解体的結果ありきの進行に異議を唱える委員の声は届くのか!注目です。傍聴に行こう!
第4回 葛西臨海水族園事業計画検討会」
12月23日(月)10時~開催「葛西臨海水族園の長寿命化を考える会」HP葛西臨海水族園長寿命化にかかる埼玉建設新聞記事
▲本日御目文字しました先生方が登場してます

シンポジウム「葛西臨海水族園の長寿命化を考える」
主催 一般社団法人 日本建築学会
日時 2019 年 12 月 19 日(木)13:00~17:00
お陰様で満員御礼。異例の参加率だそうです!

上田 令子   東京都議会議員(江戸川区選出)、地域政党「自由を守る会」代表
東京都議会議員(江戸川区選出) 白百合女子大学を卒業後、外資系保険会社、起業を経て、2007年江戸川区議選で初当選(2期)。2013年東京都議会議員選挙初当選(現在2期目)。2014年11月地域政党「自由を守る会」を設立し、代表に就任。公式サイト