来年度の与党の税制改正大綱では、「富裕層への課税を強化するため、海外への不動産投資で出た赤字と国内での所得との損益通算を認めなくする」そうだ。
渋沢栄一新1万円札の印刷と言い、またまた政府はXデーを頭にいれた策を出したなと理解する。財政危機やハイパーインフレを気にし始めた国民は海外に資産を逃がそうとする。その海外投資の魅力を抑えようと政府が躍起になっているように私の眼には映る。
どの政府にしろXデー対策として考えることは資本規制(海外への資金流出防止)だからだ。海外に資金を逃がすのはいよいよ仮想通貨に絞られてくるのか?
それにしても30数年間、私が主張していたことは「穏やかな円安政策」。「国民が海外投資を行えば円安ドル高が進み、デフレ脱却、景気大回復」だった。これが国のパイを大きくする方法。「富裕層への課税を強化」という「パイの切り分け」にばかり重点を置き、パイを小さくする政策(=円安防止)を取るのだから、日本は経済3流国、4流国へと落ちていく。
国民全員が平等に貧乏な国へ。日本での格差拡大は他国と違い、富裕層への富の集中ではない。中所得層の低所得層への没落だ。したがって日本がとるべき政策は、富裕層を引きずり降ろすことではなく、パイを大きくして低所得層を引きあげる政策のはずだ。
藤巻 健史 経済評論家、前参議院議員
元モルガン銀行東京支店長。ジョージ・ソロス氏アドバイザーを歴任。一橋大学卒、ケロッグ経営大学院修了 MBA取得。学校法人東洋学園大学理事。仮想通貨税制を変える会会長。2013年〜19年、参議院議員を務めた。オフィシャルウェブサイト、Twitter「@fujimaki_takesi」