なぜ海外送金を金融機関が阻止しようとするのか?

あーやん/イラストAC(編集部)

最近、日本国内から海外への送金がやりにくくなったという話を聞きます。

銀行の窓口に行くと、送金目的をしつこく聞かれたり、不動産購入費用の送金をしようとすると売買契約書などのエビデンス(確証)と提示することを求められたりするそうです。

知り合いの投資家の中には、銀行から海外送金手続き自体を断られたという例も聞きました。

確かに、地方のローカルな金融機関では、そもそも海外送金の件数が少なく、行員が慣れていないから、なかなかスムースな対応をしてもらえないということもあるかもしれません。

また、マネーロンダリングやテロ・犯罪組織への資金提供を防止するという理由も良く理解できます。

しかし、自分が銀行に預けてあるお金を、自由に海外に持ち出すことができないというのは、何とも理不尽なことです。

金融機関からの海外送金のハードルがどんどん高くなっているのは、何か意図があるのでしょうか?

海外への送金とは、国内の資産が海外に逃避していくことを意味します。日本人の金融資産は国内の円資産に極端に偏っており、それをグローバルに分散することは理にかなった投資行動だと言えます。

しかし、海外に資産が流出する流れが加速するのは国家としては好ましい動きではありません。それを金融機関が阻止しようとしているように見えるのは、穿った見方でしょうか。

海外送金がやりにくくなれば、今度は仮想通貨を使ったり、現金でハンドキャリーするような人が増えていくことでしょう。金融機関経由の流出だけを制限しても、いたちごっことなり、更なる規制を恐れる人たちの海外への資金移動を前倒しで加速させることになります。

本当の理由がどこにあるのかは、推測するしかありませんが、何とも困った動きだと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年12月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。