ギャンブル依存症対策法はできても民間団体のピンチは変わらず...

今日は、改めて皆様にお願いが御座います。
タイトルでお察しのことと思いますが、活動資金が大ピンチで、ボーナスシーズンのこの時期、是非ご寄付をお願い致します。

akizou/写真AC

というのも、ギャンブル等依存症対策基本法は成立しましたが、カジノ管理委員会の予算が29億も割かれているのに対し(何に使うんだ!?)依存症対策費はアルコール、薬物、ギャンブルあわせてわずか6.1億。
昨年より、わずか1億しか増えていないのです。

そのうち、民間団体の助成金はあれだけ騒がれたのに、「事業費」のみの助成金で、通常業務のランニングコストなど一切顧みられることがありません。
事業費というのは、セミナーの会場費だとか交通費、何か作ればその経費そういったものだけしか貰えません。
しかもやらなければならないことは山積みしています。

では現状の「基本法ができたけど、予算はつけない。特に民間団体には金はやらない。」という方針だと何が起こるか?皆さま御想像つきますでしょうか?

1)医療との齟齬で家族に泣きつかれる

カジノ騒動以来、ギャンブル依存症を取り扱う医療機関が増えました。
それは決して悪いことじゃないです。ただ、あまりに家族支援がないがしろにされていることが多いと感じています。

  • 自殺未遂を繰り返している人を、入院させない
  • 家族に暴力を振るっている人を入院させない、または短期入院のみでまた自宅に帰してしまう

なんてことが平気で日常茶飯事に起きているのが現状です。
家族は医療に見捨てられる、もしくは医療に繋がり更にひどいことになってしまうわけです。
そして、地方都市なんてそうそう医療機関がある訳じゃないですし、地方都市の人ほど、医者に逆らっちゃいけないと思っていて、自分の気持ちが伝えられなかったりします。

でもって、忸怩たる思いを抱えたまま当会にたどり着き、そこでどっと泣きだす方も多く、そうなると私もすっ飛んでいって交渉にあたります。
時にはですね、ご家族全員障害者年金で暮らしています・・・
なんてケースもあって、交通費すら貰えない時もあり、航空券代往復5万円自腹・・・なんてこともありました。

でも、これはものすごく悲惨な状況だったので、行ってよかったですけど。

2)行政が動いてくれない

生活保護の担当窓口の人って結構平気で嘘を教えるんですよね。
ひきこもっているギャンブラーと別居を図りたい老親が、なんとか息子を一人暮らしさせ、生活保護を受給させられないか?そうしないと自分も切羽詰まっていてこのままでは共倒れになる・・・

母一人、子一人の、ギャンブラー版8050問題。
これが実に多い、そして行政は大抵の場合「親がいるならそれはダメ」とケンモホロロなんですよね。
ダメじゃないし、むしろ行政に積極的に関わって欲しい案件じゃないですか。

しかもですよ親御さんに泣きつかれ、我々が一緒に動くと、何故か行政も動きOKになったりするので、つっつっ疲れる・・・できるんだったら最初からやって欲しい~と、こっちが泣きたくなることもしばしばです。

3)とにかく自助グループが少ない

「ギャンブルのグループ診療が保険適用」と言う記事が、話題になっておりますが、私は、まずとにかくギャンブルの自助グループが増えるような対策を作るべきだと思っています。
ギャンブルを止め続けていくには、自助グループは不可欠です。

けれども今、ギャンブルの自助グループは当事者、家族共におよそ170カ所ずつしかありません。
しかも都市部に集中していて、地方は「風前の灯」のようなところも数多くあります。
これはアルコールや薬物のグループ数から見ても、圧倒的に少ないです。

アルコールや薬物を見ていると、日本の自助グループは回復施設に比例して大きくなってきている側面もあり、依存症民間団体は自助グループの応援団となってきました。
なので我々も、自助グループがない地域に自助グループを立ち上がるような種まきや橋渡しをしたいのですが、あまりに自助グループのない地域が多すぎて、お金もマンパワーも足りない事だらけです。

結局、家族会では一部助成金を獲得していますが、その他は自分たちの自腹での活動になっています。

と、他にも電話相談や医療・行政との連携作りと、書きだすとあまりに恵まれないというか、お金にならない持ちだし活動ばかりで、暗い気分になるのでここらでやめますが、ギャンブル等依存症対策基本法ができても、問題が顕在化し業務は増大したのに、民間団体への支援は、本当にびっくりするくらいありませんでした。

頑張って、殆ど我々孤軍奮闘して法案成立まで持ち込んだのに、結局、民間団体支援より医療体制の強化ばかりが重視される結果となり、業務は激増し、ますますハードワークになり、どれだけ働いても次から次へと難問が・・・これが現状です。

しかも、この現状の上にさらにカジノまで来るのですから、少しでも依存症対策を進めねば!
と、仲間たちとの情熱だけで突っ走っていますが、それでもどんどん要望が増えていて、本当に活動費が底を尽きかけています。

先日、当会が公益法人になって1年が経過したので、内閣府の方が立ち入り検査に来て下さったんですね。
書類や活動記録をチェックして貰って、色々教えてもらうことも多かったのですが、ご担当の方から「民間団体がやるべき域を超えていて、頭が下がります」とおっしゃって頂きました。
お~~~~~わかってくださって嬉しいです・・・と泣きそうになりました。

年が明けた1/7にはいよいよカジノ管理委員会が立ち上がりますが、このまま来年、再来年と支援が増えぬまま、業務量が増大していくとなると、一体、我々の負担、各地から寄せられるSOSはどれだけ増えるのか?と恐ろしいばかりです。
ただ、最後の頼みの綱とばかりに頼って来られた方々のために、動かない訳にも行きません。

困り果てて、泣いているご家族に対して「大丈夫!じゃあ、私が一緒に行って交渉したげるから!」もしくは我々の仲間がいる地域なら、「OKじゃあ地元の仲間に一緒に動いて貰うようにするね!」と言うと、みんな一様にホッとしたようになります。

さらに、現地で問題が解決すればこちらも嬉しいし、ご家族の皆さんが安堵される様子をみると、やはりやってよかった!と思うことばかりです。
こういう医療、行政のはざまで右往左往している人たちを救う、我々のような弱小団体も必要なんです。

どうか今後も活動が続けられるよう、皆様方御支援頂けるよう切にお願い致します。
ボーナスシーズンを迎えたことと思いますが、是非その一部を当会にご寄付頂けたらと思います。
当会は公益法人ですので、寄付金は所得控除されます。
領収書も発行致します。

寄付金口座はこちらになります。

みずほ銀行 新川(しんかわ)支店
普通 1113990
公益社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会 代表 田中紀子

皆さま、どうぞ宜しくお願い致します。


田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト