外国人とビジネスをする方法

15日の日経に「国内新興企業に海外マネー流入 出資件数6年で10倍 外資系出身増え、交渉力高く 米投資家の理解得やすく」とあります。要は日本の新興企業に対してアメリカを中心とした外国からの投資が増えているというものであります。その理由の一つがコミュニケーションが取れるようになったということかと思います。

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ここでいうコミュニケーションは英語という意味ではありません。ビジネスディールという意味でビジネス分析や戦略を提示できる人間が日本側に増えてきたという意味です。ビジネスがわかる技術を習得する場合、海外大学留学やMBA取得者、あるいは海外勤務経験者、外資系企業出身者がその媒介役になるものと思われます。

なぜ、そんなものが必要かといえば北米などと比べ日本の大企業のビジネスのスタンスはかなり違う点があります。独特のビジネス慣習の中で育まれたこともあり、中身が見えにくいのであります。

実は私は今週、買収が完了する事業案件があります。この事業は日本からカナダへの輸出をベースに行う事業で日本側の多くの業者さんとすでに取引関係は作り上げ、動き始めているのですが、そこに至るまでの交渉において日本側企業は会社規模が大きくなればなるほど訳がわからない要求やプロセスがあるのです。

ただ、私は日本人で、日本型ビジネスと北米型ビジネスの両刀使いですのでそのあたりのすり合わせは普通にできるのですが、片方だけのことしかわからない人にはかなり厳しいものがあるでしょう。これを海外ビジネスがわかる媒介者を経て資金を取り込み、新興企業を成長させる案件が勢いづいているということのようです。

数年前、私は日本は大企業から新興企業へのバトンタッチが行われるのではないか、と申し上げました。日本の大企業は図体が大きいだけではなく、すでに確立したやり方を社内で変更しにくくなっており、動脈硬化のような状態にあります。よって私が大企業の社長ならば持ち株会社にして個々の事業を分社化し、時代のニーズに合わせ、成績不振な場合には潰したり売却したりすることも厭わない覚悟で臨んでいく体制を作ります。

新興企業のもう一つのメリットは経営陣が若く、新しい経営管理の仕方を取り入れ、プレゼンテーションが巧みで、リスクを取りながらも大きな野望を持つ期待感があることでしょうか?持ち上げすぎかもしれませんが、連中は異業種交流などを含め、専門分野以外の様々なインプットがあり、応用が利く点において面白みがあります。もちろん、失敗する例も数多くありますが、面白そうなビジネスをしている方は増えていると断言してよいと思います。

外国人とビジネスをするには残念ながら日本式を押し付けるのはかなりの労力を要します。それより論理的でかつ、わかりやすいものにしなくてはいけません。特に海外の投資家の場合、多数の案件を持っているケースが多く、いちいち日本の案件にだけ特別の時間を割くことはないのです。

例えば、私は北米上場会社のおおよそ3-40社へ投資をしています。それらの会社の状況がどうなのか、株価の動きとともにポイントのニュースエッセンスはほぼ拾っています。スマホに投資先企業のワンポイントニュースがどんどん入ってきますし、おおむね、信頼置ける分析コメントがついています。

一方、日本の株式掲示板はほぼ、小学生並みの落書き程度で価値あるコメントを見出すのは至極手間暇がかかります。そのあたりの仕組み一つとっても北米と日本は雲泥の差があります。

私は日本企業が国際化してもらわねば困ると思っています。国内市場で十分、という会社はそれで構いません。しかし、多くの会社はそれでは食べていけなくなる時代が来るわけですから、どうやったら外国からのマネーを取り込み、外国人にプレゼンテーションし、ウィンウィンの関係を築けるのか、重要な課題だと思っています。

そういう意味では媒介役であっても、MBAで学んだ最先端の経営分析手法を使うのもいいでしょう。ただ、それはあくまでも説得手段なのであとは経営の本質としてどれだけビジネスにつながるか、実績と説得力がものをいうことになるでしょう。頑張ってもらいたいものです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年12月17日の記事より転載させていただきました。