東京都教育改革のヘッドピン 〜 東京みらいビジョン2020より

こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です。

昨日の「東京みらいビジョン2020」の中でも、私から重点項目として説明させてもらった教育改革「一人ひとりの可能性を最大化する学びを、全ての子どもに届ける」について、詳しくお伝えします。

上図の見方ですが、

  • 「18」の部分で、これからの時代を生きる子ども達に身に着けてほしい10項目と、その実現に向けた方策を提言しました。
  • 「19」~「22」では、そのカギとなる「学校内外の融合(越境)」について、具体的な方策を提言しました。
  • 中でも、PTAの役割については、学校と保護者の良好な関係性が子どもの学習効果に良い影響を与えるとの調査もあり、引き続き、行政からの支援の在り方を考えていきたいと考えています。
  • また、教師間のいじめやパワハラ・セクハラが問題視されはじめましたが、見えにくい学校内部のことを学校内で解決していくための内部通報制度を整備することが急務であると考えるところです。

一方で、「18」にあるような学びを、公正に個別最適化し、オーダーメイドで届けていくことが求められており、いまの教育環境では不可能に近いとも感じていたのも事実であり、教育を語ること自体が正解のない空虚な議論になってしまっていました。それでも、学校内外の様々な方や保護者、学生自身にも話を聞きながら、答えを探ってきました。その結果、教育内容そのものを変えるためには、教育を支える周辺環境を変えるべきではないかというところにたどり着いたわけです。

変えるべき観点としては、以下の4つに集約されます。

●効果検証がなされずに、経験知や感覚知に基づいた学びが提供されていること

 ☞実は教員自身も、不安を感じながら取り組んでいる可能性

●教員以外の外部人材を活用できない制度上の問題

 ☞結果的に、自分がやったほうが良いと苦手なものも抱え込んでいる可能性

●公平性を重視しすぎていること

 ☞家庭間・地域間の経済格差による教育格差を公教育が拡大している可能性

●教員が多忙すぎて、また努力を評価する仕組みが乏しいこと

 ☞頑張る人ほど体を壊したり、成長意欲をそがれている可能性

これらの課題をクリアするために、東京都教育委員会の機能転換・強化をヘッドピン(一つ変われば多くのことが次々と変わっていくポイント)と考えて、以下の提案をしました。

ヘッドピン①教育ビッグデータの収集・分析

私たちの実施した区市町村への英語教育に関するアンケートでは、外国人人材を活用している57自治体のうち、19自治体しか効果検証をしていないという事実が浮かび上がりました。教育におけるエビデンスの収集は、PDCAをまわしていく上で不可欠であり、広域行政体である東京都教育員会が、大学等と連携してビッグデータを収集・分析し、その成果を提供していけば、飛躍的に教育効果を高めていけると考えます。

ヘッドピン②外部人材の活用(発掘・育成・コーディネート)

同じく区市町村に対する外国人人材活用のアンケートでは、その雇用形態(業務委託による労働者派遣契約など)においては、その性質上、担任が直接指示を出せなかったり、十分な打ち合わせ時間をとることができないということが分かりました。結果として、教員の方々は、外部人材に頼るよりも自分でやったほうがいい(時間的にも内容的にも)という考えになる方が多いというお話も伺いました。

外部人材を有効に活用できるサポートがあれば、教員の多忙解消と教育の質向上が飛躍的に進むと考えるものです。それにあたっては、本年設立された一般財団法人東京学校支援機構(TEPRO)に大いに期待するものであり、後押ししていきたいと考えます。なお、来年早々から、人材バンクの登録が始まりますので、皆様ご登録よろしくお願いします。私も部活動指導員や学習支援員として登録しようかと考えているところです。

ヘッドピン③家庭間・地域間経済格差の是正

次に、家庭間・地域間の経済格差です。公平さは、すでにある格差を是正できません。AIを活用した独自調査では、世帯年収と英語塾通塾率は比例関係になっていることが分かります。ここで注目いただきたいのは、世帯年収100万円以下世帯の通塾率が高い点です。その要因として、生活保護世帯や低所得世帯への塾代補助制度があると考えています。こうした積極的な介入をしていかなければ、教育格差を埋めることはできません。

さらに、区部と多摩地域での生徒一人あたりにかける英語教育予算にも格差がみられており、これも広域行政体である都が是正を行うべきであると考えるものです。下図を見たことがある人がいると思いますが、公平さ(平等)ではなく、公正さこそが必要であると考えます。

最後に、なによりも大切にしなければならないのが、教員の能力をいかに最大化し、発揮していただけるかという点です。

ヘッドピン④教員の能力の最大化(採用・評価・育成システム)

長くなってきましたので、続きは次回!

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編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年12月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログをご覧ください。